サイエンスとサピエンス

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関東大震災の再来の遅延理由の諸説

 関東大震災の再来、もう少し正確にいえば、首都圏での震度6以上の地震がなかなか再来しない。東日本大震災はいうに及ばず、熊本とか福井や石川、胆振や大阪北部などこの30年でも各地で大きな地震は起きている。気象庁の「日本付近で発生した主な被害地震」をみれば、なんで南関東以外で起きているのか不思議に思えてくる。

 昭和後期の頃には関東大震災の69±13年周期説が、まことしやかな学説であった。

再来を恐れつつ、待てど暮らせど襲来してこない。お隣の東海大地震の件はいつ間にやら(庶民にわからぬ理由から)消え失せた。

 

 首都圏での震度6以上地震の遅延に関して研究者たちは何を言っているのだろう?

「ストレスシャドウ(応力の影)」というのが当てはまるというのが有力と聞く。

地震があるとその地域の応力(プレート運動のしわ寄せ)が解消されて、しばらく地震活動が停滞するのだそうな。

 関東大震災の被害は甚大だったが、そのおかげで歪みが解消されたので、しばらく安泰な時間を首都圏はすごせた。

 そういうことらしい。小田原近辺での地震再来説もあったが、一味同心となるようだ。

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                     『連鎖する大地震』より

 

 

 一方で、東日本大震災のようなM9.0という想像を絶する規模(専門家たちの常識を破壊すうような)な地震にともなう余震はいまだに続いている気配がある。歪みが解消どころか、しわ寄せが周辺に拡散したような途方もないスケールのレアケースだ。

 

 まともな専門家の研究や学説ではないが、首都圏での直下地震が少ない理由に「首都圏インフラ+建造物が要石」説を自分はひそかに信じている。地震ナマズに要石と江戸の庶民は信じたが、それと同じように近代の超高層ビルに象徴される重量級の建造物の重みやメトロや道路ネットワークなどの網の目が地盤を安定化させている。一例でいえば、秩父武甲山が地図に残るレベルで削られ、その石灰岩が東京の建物に変換されたのだ。

 首都再開発、万々歳説なのである。

 冗談半分であるけれど、まんざら可能性もなくはないだろう。

 

【参考文献】

 

連鎖する大地震 (岩波科学ライブラリー)

連鎖する大地震 (岩波科学ライブラリー)

  • 作者:遠田 晋次
  • 発売日: 2013/02/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

日本災害史

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  • 発売日: 2006/09/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

 

鯰絵――民俗的想像力の世界 (岩波文庫)

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