サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

三題噺  『三体』とフェルミとUFO映像 

  一昨年来の話題のSF『三体』三部作の邦訳版が完結した。

 骨太でスケールの大きなスペースオペラだ。いや、ハードSFよりのスペースクロニクルといっていい。最近には珍しい気宇壮大なSF未来史だった。

 Strongly recommened であります。

 

 その感想はともかく、主題は「暗黒森林理論」です。

 高度に進んだ異星文明がいくつも存在している。その関係は弱肉強食であり、弱い存在は優れたハンターにより見つかると同時に狩られてしまう。森林の暗闇のなかに異星文明は息をひそめているというのが、暗黒森林理論だ。ウェルズの『宇宙戦争』と同じ異文明の敵対仮説だ。

 その伝で行くと、進んだ文明から漏れ出る電磁波や重力波などによる信号は、強く暗号化されているであろう。SETIなどでの信号検出仮説はお人よしな前提すぎて、信号は簡単に解読できないようプロテクトされる、そんな説が導き出される。

 宇宙の背景輻射中にも簡単に識別できない信号が、新入りの地球人たちの判読できない情報が交換されているかもしれない。何しろ他の文明はすべて「敵」なのだ。存在を知られたくないのなら、高度な暗号化するだろう。

 かつての挫折したオズマ計画のように銀河の電磁波に聞き耳をたてて、はい、文明がなんとか星系にありますなんてわかるはずもない。

 それをひっくるめると宇宙線などの一部も宇宙物理的な起源ではないかもしれない。

 空を見上げて「やつらはいるのかな」とつぶやいたフェルミはそうした可能性をどう判定するだろう?

 それにつけても興味深いのは2021年にペンタゴンが公表したUFO映像である。

www.gizmodo.jp

 


www.youtube.com

 

 なにせ、海中の飛び込んだり、潜航して高速で進んだりと大活躍のUFOだ。

それが、仮に異星文明が送り込んだものだと仮定してみよう。UFOが物理的に実体があるとしても、なかに有機生命があるとは思えない。推定加速度が数百Gだとしているからだ。よって、観測用探知機とするなら、まんざら不可能でもないだろう。

 ※Gというのは地球の重力定数で、10Gはその10倍ということである。

 人類の製作物で最大の加速度を出すのは(大陸間)弾道ミサイルでおおよそ70Gということだ。UFOの運動解析では600~700Gとしている。

 もし、かりに数百Gの加速性能を持つのなら、かなり遠方の恒星系から地球まで探知機を到達させることも不可能ではないだろう。

 そうした加速度はどこまで光速に接近だろうか。最大で1000Gと仮定して計算してみよう。

  それは次のネタをを見ていただきたい。

hyperion64-universe.hatenadiary.org

 

 

 

 

 

  最大加速をもつ人工物は破壊兵器である。その弾道弾の物理はこの本がお勧めである。人類の達成点は109ページにあるように70Gなのだ。しょぼいといえばしょぼい。