サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

人類に牙を向け始める地球大気

 事の始まりはキーリング曲線だったのだろう。

 ハワイのマウナロア観測所で長年のCO2濃度のモニタリング結果を示す印象的なカーヴだ。2000年に入ったあたりで有名になったのだろう。

 地球温暖化の象徴的ファクトとして語られるこの炭酸ガスの濃度曲線は、8年前の2013年には400ppmを超えた。参照⇒Earth's CO2 Home Page

 上記のサイトによれば2021年7月時点では、416ppmとなっている。

しかしながら、2019年9月に408ppmであり、その前年から3ppmしか増えていなかった。それが、2年で8ppm、つまり、年あたり4ppm増となっていることに注意されたい。コロナで経済活動停滞しても増え方はやや加速気味だ。

Atmospheric CO2

 シベリア、アマゾン、オーストラリアなどで森林火災が多発しているからだろうか。

 

 さらに、CO2自体も危険になりうることは、1000ppmを超える望ましくないとIAQ(環境濃度)の専門家していることからも明らかだ。

純化した考えでは二酸化炭素1個生成に際して、酸素分子1個消滅する。だから、毎年3~4ppmほど酸素濃度が減少するはずだ。けれどもそういう報告は幸い出ていないようである。

 いらぬ心配だろうが大気中の酸素濃度が大幅に減少するようになれば、現代文明はチェックメートかもしれない。

 

 PM2.5が脚光を浴びだしたのも21世紀になってからだろう。中国の高度経済成長の負の遺産として、韓国や日本は警戒感を募らせた。黄砂も上乗せされて中国大陸からやってくるのだ(おまけに黄砂にウイルスや有害分子がついてたりする)

 それと関連してか、ぜんそく患者は世界的に増加基調だという。

増え続ける気管支喘息と対策/医学小知識 (ohta-hp.or.jp)

その頻度(有病率と言います)は人口100人に3から5名(3から5%)です。もう少し詳しく言うと、世界中で3億人の喘息患者がいるとされ、20年前に比べるとどの国からの報告も気管支喘息患者は増加をしています。今の状態が続けば、2025年にはさらに1億人の患者数の増加が予想されています

  アレルギー物質にさらされることが多い先進諸国の人びともかかる。花粉やダニ、ダストなど卑近なアレルゲンが直接的な原因とされる。しかし、PM2.5の増大がトリガーになっているのではないか?

 気候病なる言葉もニュースで話題になる。だが、昨年来のCOVID19は、まさに大気中の飛沫から感染する強力なウイルスだ。その感染力はほぼ最強だろう。

大気経由なのだ。

 そして、疫学調査によればアルツハイマー症候群PM2.5と関連性があるという。

www.nikkei-science.com

 この病気、20世紀初頭の工業国ドイツではじめて症例が認知されたというのも大気汚染との関連性を疑わしめるではないか。

 そして、集中豪雨と異常な高温と干ばつが、ここ数年多発することを付け加えよう。

 

 豪雨による大都市での土石流被害ということでは、「阪神地区の昭和の3大水害」を日本人への教訓として再想起しておきたい。

1)昭和13年7月3~5日   死者616名、被災家屋は約9万戸
  総雨量:461.8mm(7月3日:49.6mm、4日:141.8mm、5日:270.4mm)

2)昭和36年6月24~27日  死者26名、被災家屋は約2万戸
  総雨量:472.1mm(6月24日:76.8mm、25日:195.2mm、26日:127.7mm、27日:72.4mm)
3)昭和42年7月9日 死者84名、被災家屋は約4万戸
  総雨量:319.4mm(7月9日:319.4mm)

  砂防ダムなど対策は講じられて50年以上にわたり、同地区では目立った被害は起きていない。しかし、短期間での総雨量が500mmを超過するような豪雨は、珍しくもないという切迫感を自分は持っている。

 このようなことどもから、地球大気はいつまでも人類に甘いわけでなく、狂暴さをいつむき出しにするかわからないし、PM2.5やCO2のように密やかにまとわりついて締め付けにかかってきてもいるようだ。

 

 

 

  この本が出てからすでに20年経過したので、残り60年ですねえ。

 

  谷崎潤一郎の名作に「昭和前期の阪神大水害」がいきいきと描写されてます。

 

 

 大気を大々的に加工して製品に変成していることも思い出しておこう。

 工業は窒素を固定化している。この発明者は毒ガス製造も着手した。

見事にに対になっている