サイエンスとサピエンス

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中国の大変調

 イヤはや、中国の経済と政策は迷走気味です。

 習近平は「共同富裕」を掲げました。格差是正トップダウンで行うという方針です。これは、どうも実効がともなう政策となりつつあるようです。

 手始めは学習塾の禁止です。過熱する受験競争に歯止めをかけるという表面的な目的があります。しかし、少子化の原因として子どもへの過剰投資があるので、その対策といえなくもない。それにしても、極端です。

 ビットコイン、つまり暗号資産を追放しました。官製ビットコインに切り替えの下ごしらえかと思いました。ところが、中国全土、ほぼ国内の2/3で電力不足が起きました。

 先進国にあるまじき電力供給の不安定化です。

すると暗号資産による電力の浪費(独裁政権からは無駄に見えます)を食い止めるという意味もあったわけです。

 脱炭素社会で火力発電を抑制するエネルギー政策の一環でもあったのでしょう。

でも、冬が到来して、自動車のEV化を促進しているのに、こんな有様です。

 ダメ押しは不動産の大手の破綻危機です。最大手の恒大グループのディフォルト危機は世界的な株安を招きました。中国や香港の大手の不動産企業にもその余波はおよび、株安を招いています。

 不動産バブルのうわさは2-3年前からささやかれてましたが、株式市場にダメージを与えたのは今回が初めてでしょうし、破綻回避できても解体と再編は避けられないでしょう。つまり、中国の右肩上がりの経済は停止ということを意味するのでしょうね。

このまましばらく不良債権を抱え込みながら、経済活動は成長するでもなく、収縮するでもなく停滞状態が持続するわけです。

 日本のバブル崩壊と似ていることはあきれるほどです。

そんな国家を国民は支持しているでしょうか? マスメディアは官製です。ネットピープルの声は表立った不支持や批判は見当たらず。せいぜいが不満や苦情どまり。

 それはそうでしょう、全部デジタル化されて監視され、不平因子は除去される仕組みができているのです。経済に何が起きようと非難ごうごうとはならならいのです。

 デジタル監視社会の勝利ということでしょう。コロナを抑え込むパワーとは強力な監視と管理社会の賜物だったわけですね。

 市民からの批判勢力は巨大化しないでしょうし、政権側も市民の本音が見えなくなっている。

 一党独裁による共同富裕のごり押し=強権発動があるとその停滞も崩される懸念はくすぶるわけです。「くわばら、くわばら」

 

 

【10/31追記】

 中国世論のニュースで『中国人の日本の印象「良くない」大幅増』が10/20に朝日新聞サイトで報じられた。どうも中国だけではないようで、5月のアウンコンサルティングの調査では「嫌われつつある日本と日本人、多くの国・地域で「嫌い+大嫌い」が増加」とされていた。

 別に東南アジア諸国などから「日本好き」が減少してもそれほど気に病む必要はないだろう。しかし、中国の世論は要注意だと思うのは自分だけでではないだろう。

なにしろ、中国政府は国民の反日感情を教唆しあおることで不満を解消してきた前科がある。2005年と2012年に反日運動が起きていることは記憶に新しい。

 

ja.wikipedia.org 

   

ja.wikipedia.org

 なぜ、いまさら過去の出来事をほじくり返したかというと、前のブログ「中国大変調」の向かう矛先の最右翼だからだ。

 電力と石炭不足で迎える冬、製造業の不調と物価上昇、不動産バブルの崩壊による株価乱高下、そしてコロナ完全制圧策によるロックダウン続発などによる先行き不安は、非難先を中国共産党には向け得ない。言論メディアの統制どころではなくSNSという個人レベルの言論まで封じられている。

いや、単に封じられているどころではない!

 官製Fakeニュースと疑似SNSによるデマの出番である。

 不正を働く敵を外部にうみだし、そこに不満の吐き出し口を誘導することなど、お手の物だろう。中国にとってデジタルで贋造されない出来事はないのだ。

 オーウェルすら予測しえなかった愚民化政策の実現だ目前に迫っているのではなかろうか?