サイエンスとサピエンス

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なぜ、大型物流センターで火災が多いのか?

 本日、2022年8月14日に茨城県守山市で大型物流センターが火災となった。それをきっかけにツラツラと推測をまとめてみた。

 個人的に気になるのだが、最新の防火設備を備えているはずの物流センターが延焼する事件は年に一回は起きているように思える。

 2017年の「ASKUL Logi PARK 首都圏」では4万5000平方メートル焼失。例のアスクルの倉庫だ。最大級の倉庫火災であったと思う。

 2018年10月には愛知県小牧市国盛化学本社工場の倉庫から出火し、30時間以上たってから鎮火した。

 2019年2月に東京都大田区マルハニチロ物流センターが延焼し、作業員3名死亡。原因は溶接作業の失火とされている。
 2020年4月のジョインテックス東北センター火災はPLUSの配送センターであり、東北エリアに影響があった。
 2021年12月には大阪市此花区にある日立物流西日本物流センターでの火災は1万平方メートル以上が燃えた。医薬品物流に影響が出た。
 2022年6月には茨城県「SBSフレック」で約7300平方メートル焼失。こちらは食料倉庫である。

 いずれも相当な規模の火災である。なにが、原因しているのであろうか?

 それなりに資本のある企業が所有する物流拠点であるので、防火設備は標準的であろう。価値ある備蓄品の保管場所であるからには手抜き工事や管理ミスもそうそうあるまいと思うのだ。

 素人考えでは、こうした施設は内部面積が広くて無人の場所が多い特性が挙げらる。備蓄品が天井まで積み上げられ、そのピッキングは機械による無人化(いわゆるマテハン自動化)が進んでいる。備蓄品のせいで監視カメラの死角が多いわけだ。搬送機械の配線とアクチュエータが至るところにあることから、その不良が火災につながる可能性も高いだろう。

 初期消火活動が遅延する要因がいくつもあるとして、消防法が定める標準的な防火設備でカバーできないと指摘する人もいる。窓が少ない構造が消火活動を阻害するという声もあるが、それは結果論かもしれない。

 火災とは異なるのだが、米国のトルネード被害でアマゾンの物流センタで多数の死傷者が出た事件が思い出される。2020年12月イリノイ州エドワーズビルにおける天災だが、6人以上の死傷者が出た。

 こうした状況をまとめてみよう。

 商品在庫を集約化した物流施設は自動化機械の塊になる。巨大装置産業だ。そして、24時間フル稼働が原則になりつつある。設備の保守もその合間に行うわけであるから、こうした先進的な倉庫のマテハン装置のメンテの質も維持が困難になることが想像される。

 集中化と自動化とフル操業が物流センタの災害リスクを増やしているという可能性はないであろうか?