「歴史は繰り返す、1度目は悲劇として 2度目は喜劇として」なるマルクスの言葉がある。この言葉はマルクスが初めて述べたわけではないようだ。
ローマの歴史家クルチュウス=ルーフスが初めだそうだが、マルクスもそれを踏まえての言い換え(パロディ)だったようだ。
もちろん単純な反復は起こりえない。文明に対する疫病や自然災害の猛威は類似な反応(後遺症)を残すとはいえるだろう。
21世紀に初頭の出来事は、100年前とそれとなく似ている。
自分にとっては、コロナの流行がその感を深めた。百年前は「スペイン風邪」が起きたからね。1918年から1920年までで5000万人以上の死者が出た世界史的な疫病だ。
より衛生と栄養状態が改善したはずの現代文明において結果はどうだったか?
コロナは2020~21年で1500万人の犠牲者がでたという。少しはましだったというべきかな。
スペイン風邪と同時期に第一次世界大戦が起きている。また、ロシア革命は1917年から23年まで二度生じた。21世紀になってサイワいなことにこれの照応するイベントは(今のところは)ない。
類似点としては。関東大震災(1923)と東日本大震災(2011)がある。前者は15万人、後者は二万人以上の犠牲者を出した。これも今のところは関東大震災級の地震被害はないといえる。さらに言えば、2004年のスマトラ島沖大地震の津波の犠牲者数は22万人の犠牲者だから、匹敵するかもしれない。
経済状況の類似性が、注意を要する。前世紀には、1901年恐慌,1907年恐慌,そして1929年の世界大恐慌が起きている。
最近はバブル崩壊と言い換えいるようだが、破壊的な不況ではないが金額的規模は大きい。
誰でも思い浮かべるのは2008年のリーマンショック。これが恐慌の照応イベントだ。
もう一つ、リーマンショックに関連して世界金融危機 (2007年-2010年)というのが起きていることも追記しておく。
恐慌への耐性は20世紀前半よりも強化されたとはいえ、資本主義の宿痾として撲滅できていないのだ。マルクスにあざ笑われるだろう。そして、ケインズは対症療法としての財政政策&金融政策を編み出したが、これは新自由主義経済(シカゴ学派)によって多くの先進国から締め出しをくっている。
マルクスとケインズの教訓から、アメリカ(とくにアメリカ合衆国)が目を背けているのが現状なのだ。
とくに「世界大恐慌」については、経済学者のキンドルバーガーが「アメリカが世界経済の秩序に責任を持とうする意志を欠いたために起こった」と言ったそうな。
「一九二○年代のアメリカは、強大な経済力を身につけながら、国際連盟への加盟を拒否し、さながら未成熟な一○代の若者のように自らの繁栄に陶酔し、富を国際的に分配するどころか移民にも輸入にも門戸を閉ざし、…」と林敏彦は『大恐慌のアメリカ』(1988) で書いてる。
歴史は繰り返すのだが、ここは人類の反啓蒙性につけこむかたちで繰り返されるかもしれない。
そして、戦争は経済的混乱と隣り合わせで発生するのだ。第二次世界大戦は大恐慌からのもがき苦しみから起きたといえなくもないのだから。



