サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2024-01-01から1年間の記事一覧

AIと安全工学への考察

斯界の権威ナンシー・レヴソン教授の待望の訳本が上梓された。米国で出版されてから10年遅れというところ。日本でのこの分野の遅れを反映しているかのようだ。 STAMPはAIとシステム安全における「安全分析」に本質的な役割を果たすと目される。従来のシステ…

愛と狂気のロングテール、もしくはブラックスワンでいっぱいの湖

現代社会の時事問題を眺めて思うのは、逸脱行為と逸脱者の種類の多さだ。 それを一括りに論じることを許さない風潮もある。LGBTとサイコパスは絶対同じ分類に仕分けしてはないらないのだ。 そうした時流を念頭に置いて、どのような種類の大分類があるかを考…

相対論的拡散方程式としてのDirac方程式

量子力学の頂点の一つであるDirac方程式は拡散方程式の一つであると解釈できる。 すなわち、光速に近い速度で運動するような確率的な予測モデルということだ。 そう思えば、インターネット上の情報拡散はDirac方程式でモデル化できるであろう。 たとえば、地…

原子力発電に関しての私見

原子力発電が人類と現代文明に適しているかどうかといえば、Noなのです。でもかなりひねくったNoでして、諦め口調のNoであり、しかもなお現状の原子力発電の存続を必要悪とするNoというと、一般の人に「一体全体、どっちやねん!」とどやされるだろう。 まず…

ノーベル賞は死去した人にはおくられない。では…

では、受賞の知らせを聞いてうれしさのあまり、急死しした場合はどうなのか? マンガと図鑑でおもしろい!わかるノーベル賞の本 自然科学部門 作者:うえたに夫婦 大和書房 Amazon ノーベル賞117年の記録 山川出版社 Amazon

データベースはパノプティコン、みたいな~

技術哲学ではテクノロジーの意味を一歩離れて観察する。そのわかりやすい例が 「データベースは一望監視システム(パノプティコン)」というような洞察だ。 もとはフランスの現代思想家ミシェル・フーコーの『監獄の誕生』という権力装置の史的な研究から刺…

ヒントン氏らAI研究へノーベル物理学賞への所感

研究結果のインパクトが多大であったことは誰もが認めるでしょう。でも、これが物理学かというと「?」ですねー。 深層学習は情報処理技術の一種であって神経回路網にインスパイアされたといっても決して物理学ではないと感じます。回路網シミュレーションが…

現世代の生成AIによる「科学的発見」への期待と限界についてのメモ

2020年代に入ってからの生成AIの登場はまさにブレークスルーそのものであった。自然言語の処理は人並み以上となり、機械翻訳を超えてあらゆる分野で違和感なく知識と言語を巧みにあやつり、応答した。 大規模言語モデルに限定して論を進めよう。 科学分野に…

不完全性定理の脱領域

ゲーデルはその不完全性定理を証明する際にゲーデル数を用いた。記号論理の命題にゲーデル数を割り当て、対角線論法の一種で証明も反証も不可能な命題があることを証明した。すなわち、証明も反証も不可能な命題に相当するゲーデル数があることを証明したの…

生成AIの美女の特徴とゴルトン研究

ネット広告のちまたには生成AIの美女があふれかえっている。たしかにリアルな描写であるけれど人工生成されているのは瞭然たつものがある。 多少の誤解を招く言い方をすれば、韓国の整形美人的といっていいだろう。勿論、それ以上の即席な人工感は強い。 小…

なぜ一流の数理系学者で一流の文学者がいないか?

愚問かもしれませんね。時間もエネルギーも二つの異なる方向に割けないだろと指摘されたら、ぐうの音もでないかもしれないから。 言わんとすることは、数学や論理で使うのは抽象化の把握力であること。詩とか小説は具象化の把握力という点になるかな。 数を…

インバウンド客におにぎり🍙流行の科学的な考察

2024年はオーバーツーリズムが懸念されるほどインバウンドの海外旅行客が溢れるような年となった。コンビニエンスストアの人気とともにおにぎり美味しいというニュースが目につくようになった。 和食は安くて美味しくてヘルシーは当たり前の世の中になったが…

現代物理学史上最高の師弟の問答

ファインマンの師匠のホイーラーは傑物でありました。ファインマンのノーベル賞講演で量子電磁気学にインスピレーションを与えた会話が引用されてました。 「ファインマン君、なぜ電子がみんな同じ電荷、同じ質量を持っているのかわかったよ!」「なぜなので…

ネットワークは信を通じるか、あるいは真と信じ込まされるか

繁文縟礼 は人間界の煩瑣で形式的な規則と修飾に満ちた社会活動へのネガティブな表現である。 最近は、それを代行して人間様の貴重な時間を節約してくれるのが、スマホとパソコンである。私信や送金や買い物まで容易になんでも出来る高信頼のネットワークサ…

マーフィの法則の定式化の例

When Event0 seems to occure, then IP(Event0)-1I<ε. 何か良からぬこと=Event0が起きそうに思えたら、その起きる確率は1にほぼ等しくなる(上式のεを限りなく小さくできる)。

三種類の脳梗塞

なんでも血栓は脳梗塞は三種類に分けられるようだ。専門家によると下記となる。 1) ラクナ梗塞 2) アテローム梗塞 3) 心原性梗塞 青木延雄氏の『血栓の話』から、引用しておく(用語の違いはそのまま) ただし、心原性梗塞は氏の著作には直接出現しないので…

太陽光発電&ファン付きの空冷式ジャケットはなぜ無理筋か

ワークマンのファン付き作業服は暑い季節のアウトドアワーカーには欠かせないものになりつつある。 ワークマン 空調服 ベスト これらはバッテリー駆動であることは言わずと知れたことだろう。 当然ながら、ファンを回すモーターも電力供給する二次電池も発熱…

Transformerの示すスケーリング則とフラクタル性

大規模言語モデルは文字通り深層学習のDeeperで規模が破格なモデルです。 GPTの系列を見てもその内部パラメータや訓練データの数値の大きさは圧倒的です。しかも、年々増加しているわけですね。 LLM製品 公開年 訓練データ量 パラメータ数 GPT-1 2018 約30億…

認知バイアスと機械学習の過学習の対比

認知バイアスは人の心の働きを示す。鈴木安昭は「先入観にとらわれて物事の一側面にだけ注意が向けられ、その他の側面についての思慮が足りない」としている。 過学習は機械学習における学習状態の一種で「学習時のデータに対してはよい精度を出すが、未知デ…

AI利用の国際ルール 基盤としての ISO/IEC 42001

2024年5月にG7で人工知能(AI)の国際ルールづくりの合意が表明された 「AIは人類全体に影響を及ぼす革新的な技術であり、多くの国が共通の認識を持つことが重要だ」 それは、その通りであろう。 では、具体的に何をすればいいか。とくにAIを業務に用いる企…

科学史家でもあるアーサー・ケストラーの別の顔

日本においては優れた科学史家&ジャーナリスト兼思想家でもあり、素晴らしく理知的で柔軟性に富んだ知識人として、夙に名が知られたアーサー・ケストラーであるが、この御仁の若いころの暗黒史を最近、知った。 まずは、公平を期すために彼の絶妙にして独創…

「心理歴史学」のハリ・セルダンとピーター・ターチン

オールドなSFファンならアシモフの「銀河帝国」シリーズは通過儀礼として経験済みであろう。その未来的な科学者の理想であるのが、ハリ・セルダンである。 彼は分子運動論にヒントをえた、心理歴史学により銀河帝国の未来図を描き出す。それにより、「セルダ…

フランスの生んだ三人の若者 神が愛でし夭折の天才

フランスは西洋文明の中心の一つである。その文明の中心が産み落とした自然科学系の三人の若者たちを比較してみたい。 パスカル、カルノー、ガロアの若者たちだ。 パスカルは数学と物理に不滅の業績を残した。真空の研究と確率の創設者であることを特筆して…

ゲーデル・コード 天才的論理学者はアメリカの独裁者の誕生を導出した

2024年のアメリカの次期大統領選は波乱含みの展開となり、どっちに転んでも政治的な混乱が避けられないだろうと大方の人は固唾をのんで見守っている。 この大統領選に関しては20世紀最高の論理学者クルト・ゲーデルの逸話を連想せずにおれないのです。 1948…