サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2018-01-01から1年間の記事一覧

AIの進化=次のバイオミミクリー

機械の発達の筋道には法則性があり、それを定式化したのがカップの器官投映説だと理解している。生物の器官を模倣しながら技術的な発展を遂げている機械があるということだ。 例えば、カメラの構造は眼をなぞっている。レンズと絞り、それに網膜は光学カメラ…

量産機械文明への進化形態としての「オタク」

オタクとかヘンタイというのはグローバルでも通用するコトバになったようだ。日本の現代文化の主流を担う「人種」にまで上りつめているといってもいいだろう。 その社会的な分析や批評は多くなされてきたが、自分には今ひとつ腑に落ちないものがある。 評論…

ナポレオンの写真

そう、あのフランス皇帝ナポレオン一世の写真がある。 19世紀前半に亡くなった人物の写真などはあり得ないと指摘する識者もいよう。確かに、ナポレオン・ボナパルトは1821年5月5日にセントヘレナ島にて幽閉されたまま死去した。 なにも生前の写真とはいって…

日常サイエンスで挑む炎暑対策

素人考えではあるけれど科学的な情報ソースを総動員して、この凄まじい炎天下の日本を乗り切る方策をまとめてみます。 なにかの役に立つのなら幸いです。 対象は都会での生活者です。コンクリートとアスファルトに囲まれた人工環境で生きる市民の対策です。…

ジョージ・ブールに始まる異能の人脈

だいぶ昔になるけれど理系の訳本から、ジョージ・ブールに関わる面白い人脈を拾い出したことがあった。それを再掲する。 始まりはブール代数でお馴染みのジョージ・ブールだ。この苦労人は商家の出という大英帝国(19世紀)の階級社会での格差にもめげず、…

イエローストーン公園とオオカミ

1995年にハイイロオオカミ16頭がイエローストーン国立公園に放たれた。以来、緑が公園に戻りだしているというレポートが報告されたのが2004年だ。 公園のエルクが2万頭から1万頭まで半減するとともに若い樹木が繁茂しだしだしたのだ。食物連鎖の頂点であっ…

江戸時代の人口推移の東西比較

板倉聖宣の『日本史再発見』(1993)を読んでいたら江戸時代の相馬藩の人口推移を推定していた。参考文献に速水融などの歴史人口学の資料が参照されていないところを見ると独自に集計された結果なのだろう。 何にせよ江戸時代の人口推移が1720年台に転換点…

熊沢蕃山の越流堤

瀬戸内式気候の岡山をはじめ今回の平成30年7月西日本豪雨による被害の甚大さに自分は茫然自失するテイタラクである。 こうした悲劇を前にして、治水というものを少し別な観点で考えることが必要ではないか。 砂防ダム、堤防などや山林の保護、それにハザード…

始末が悪いパラドックス グッドマンのグルー

ことさらグッドマンのパラドックスを始末が悪いと眉をひそめるのは何故か? まずはじめにグッドマンのグルーを語っておこう。G1) 一般法則は個別の事例のどれによっても確証される 確証(confirm)とはある命題ががある仮説を支持する何らかの証拠を提示して…

ロシア・コスミズムの奇妙さと面白さ

ロシア・コスミズムあるいはロシアの宇宙的思想が再評価されたのは1970年台というが、自分がその片鱗を知ったのは西海岸のネットカルチャーの走りであるマイケル・ハイムの著書からだった。今から20年前だ。 彼の『仮想現実のメタフィジックス』(1994年)に…

かつては科学者偉人伝 そして、巨大組織のパーツへ..

『サブカルと自然科学の変遷相似則』でも述べた内容のバリエーションでしかないが、科学者のモデルもサブカル・ヒーローと同じ変遷を辿っていくのが見える。 1960から70年頃の少年向け漫画のヒーローはアメコミの影響を受けて、孤独な、あるいは突出した能力…

誰も文句を言わないエアラインの二酸化炭素排出

世界の海外旅行客は1990年は4億人だった。それが2020年には14億人になるとされる。 これほど拡大している要因の一つはエアラインの燃料の安さだ。自動車用のガソリンが高騰してもエアラインの旅行代はそれほど変動せずツアー価格は安価なままである。 その一…

ストア学派の「世界燃焼(conflagration )」 

古代ローマ時代に支配的だったストア学派。英語にもストイックというワードが残存するが、もともとはヘレニズム時代(アレキサンダー大王死後からプトレマイオス王朝没落=クレオパトラの死去まで)に生まれた総合的な哲学である。ギリシア哲学だがローマ人…

中国テクノロジーの潜在力を歴史的に鑑みる

イギリスの科学史家ニーダムによって西洋中心科学技術の史観がひっくり返されてから、現在では歴史家の多くは宋代までの中国の技術の優位性を認める方向になっていると漏れ聞く。身近な例には技術史家のアーノルド・パーシーがいる。 ここ数年で中国の科学技…

サブカルと自然科学の変遷相似則

大塚英志や東浩紀らのソフトカルチャー論をつらつらと眺めていると、世紀の変わり目の自然科学の変容にダブって見えてしまう。 彼らの言説をメチャ単純にいえば、サブカルでの主流は「大きな物語り」から「データベース」型の消費に変容したとする。 みんな…

地球の目は青かった リシャット構造

宇宙から見て取れる「地球の目」がある。 アフリカ北西部、モーリタニアにある「リシャット構造(Guelber Richat) 」だ。その紹介はナショジオでもあった。 サハラの目( Eye of the Sahara )という意味だ。なんということでしょう〜、地球の目は青いのだ。 …

空爆兵器 飛行船ツェッペリン号

組織的な空爆は第一次世界大戦で始まった。その陣頭にたったのがツェッペリン伯爵とその名を冠した飛行船であった。 1915年1月、初めての英国本土爆撃が軍事戦艦「ツェッペリン」L3号とL6号により敢行された。ツェッペリン伯爵は産業施設を徹底的に叩く…

プロ野球ニュースの科学的多元性

現時点で日本のプロ野球ニュースの主題は「 エンゼルス大谷翔平投手(23)のメジャーリーグでの大活躍」にあるようだ。 気の早い大谷ファンは来年以降の活躍も期待するだろう。 しかし、アメリカ野球のジンクスは「ルーキーのラック」といって、来年の活躍は…

SETIとドレーク方程式と異星文明間の壁

「フェルミパラドックス」はブログで何度か話題にした。フェルミが天を指して「どうして彼らは姿を見せないのか」とした例の異星人問題だ。地球の文明が特別でないならば、宇宙のどこかで異星の技術文明の存在が観測されてもおかしくないはずだ。だが事実と…

確率の哲学的な解釈について

確率の意味は現代の専門家らは二面性が合意済みとされている。 1) 認識論的確率 信念の度合いや論理説を含む主観的確率。 2) 客観的確率 自然科学で起きるようなランダム事象に当てはまる確率。偶然的(stochastic)確率ともいう。 有名なイアン・ハッキングの…

組織事故モデルからの読解き STAP細胞/旧石器捏造

日本考古学会の屋台骨を揺るがせた「旧石器捏造事件」とそれこそ世界の耳目を集めた「STAP細胞捏造事件」。この両者を対比させながら、組織観点でそのRoot Cause(根底原因)を探ってみた。 組織事故に関するモデル、ここでは組織が扱う人工物、プラントや飛…

バイオテクノロジーでの日本の貢献度合い

手頃な教科書として定評があるラインハート・レンネバーグ『EURO版バイオテクノロジーの教科書』をもとに日本の研究の貢献度合いを顧みておこう。 この本の著者はドイツ人であるが日本でも研究していた経歴がある。 高峰譲吉の「微生物による酵素生産の特許…

去ってしまった「科学的未来」の預言者たち

戦後から20世紀末までの日本の技術立国とともに歩んだ預言者たち、というのは第一世代のSF作家や漫画家、編集者や翻訳者たちのことをここでは指す。 高度成長期までは華麗なる未来のビジョンを描いた人びと、すなわち星新一、福島正実、大伴昌司、半村良、…

バラード世界を堪能できるタワーマンション

今や、60階建ても珍しくないタワーマンション。 人気の理由は明らかだ。 高層階から眺望や日当たりは抜群。視界を遮るものはなく地表を隔たって仙界に遊ぶ気分とまではいかないだろうが、世俗を離れた感じはするだろう。仕事や面倒なお付き合いとも精神的な…

気体分子運動論と社会統計学、どっちが早い

ここでの問題設定は「気体分子運動論と社会統計学、どっちが正規分布を早く採用したか」 はじめに時代背景を押さえておこう。 19世紀に国家がより統制のとれた組織として姿を現す。そのためには官庁統計の確立が急務だっだ。「統計と地図」が近代国家の管理…

空間の知

場所をギリシア語でトポスという。かつて中村雄二郎が「トポスの知」を論じていたが、アリストテレスが論理学を創造した最初の書籍が「トピカ」だった。西田幾多郎が晩年に到達したのは「場所の論理」だった。 トピックスというのも語源はトポスなのであろう…

福島第一原発事故の政府対応とシン・ゴジラ

3.11の東日本大震災に伴って発生した福島第一原発事故。その政府対応については内外からメチャ批判がある。日本的特性による同調行動と隠蔽気質みたいな海外識者の批判も当たってないわけではないが、本質的ではない。あくまで外野の判断だろう。 そもそもが…

GE(ジェネラル・エレクトリック)とカート・ヴォネガット

あのGE(ジェネラル・エレクトリック)が不調だそうである。強電部門(原子力発電など)が足を引っ張っているというから、東芝の不調と似ているのかもしれない。一頃はジャック・ウェルチの経営のもと怖いもの無しの超優良企業であったが、栄枯盛衰は免れな…

化学者の幻想的小説

クロスオーバーな才能ってのには妙に惹かれる。とくに文系と理系のクロスオーバーというのには目がない。 プリーモ・レーヴィという化学者で小説家がいたのを知ったのは昨年あたりだ。ユダヤ系イタリア人でアウシュビッツ経験もある。 作品も『形の欠陥』と…

関数電卓のガラパゴス的進化

関数電卓の競争は知らぬ間に異次元ゾーンに突入している。自分が前世といってもいいほどの大昔、購入しドットプリンターでグラフ作成して悦に入っていた関数電卓(programmable)とは違う方向に跳躍進化している感じだ。 カシオ 関数電卓 fx-375ES-N を例に…