サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2011-01-01から1年間の記事一覧

ニーチェとボルツマン

哲学者と物理学者の二人。どこでつながるのかというと「永劫回帰」つながりです。 生半可な知識をひろうしておきます。 ニーチェの学説の一つに「世界はふたたび同じ状態になる=永劫回帰」という風変わりな主張があります。平たく言えば、「いまここにいる…

Dirac方程式とヒッグス粒子

もはや素粒子論については進歩についていけず、興味本位でニュースを追っかけるだけでありますが、今年のビッグニュースとして「ヒッグス粒子の発見」という報道がありました。 ヒッグス粒子は素粒子の質量を生みだす決め手とされ、標準模型の不可欠な粒子な…

核分裂の発見者と日本のエニシ

核分裂反応の発見者とはドイツの科学者オットー・ハーンだ。リーゼ・マイトナーもそうであるが、連名されるべきであろう。彼女は悲運の女性科学者として別記されるべきであろう。 ハーンがハイゼンベルクとともに連合軍に身柄を確保された時の様子は、ハイゼ…

マイケル・ポーターのナマ講演

戦略論というと何よりもまずマイケル・ポーター。 企業も国家も医療も何もかも競争戦略の視点で斬る。まあ、いってみれば声は冴えないが頭脳は冴えまくるタイプだ。 ここに彼の講義模様がある。大学における講義風景である。あのfive forcesも彼の考案だ。 …

Kotlerの講義

マーケティングで一時代を画したフィリップ・コトラーのビジネスフォーラムでの名調子を拝聴しようか。インターネット・マーケティングについても講話があった。コトラーのマーケティング・コンセプト作者: フィリップ・コトラー,恩藏直人,大川修二出版社/メ…

オルダス・ハクスリー

カリフォルニアに移り住んだオルダス・ハクスリーはカウンターカルチャーに大きく関わった。 彼の風貌をよく伝えるインタビューだ。 永遠の哲学―究極のリアリティ (mind books)作者: オルダスハクスレー,中村保男出版社/メーカー: 平河出版社発売日: 1988/03…

クワインの肖像

アメリカ言語哲学の泰斗 クワイン先生の映像でござるよ。 アメリカ言語哲学入門 (ちくま学芸文庫)作者: 冨田恭彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/05メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る この本が代表的な参考書とされる…

世界の温暖化トレンド

温暖化を世界中の多くの場所について、まとめて視覚化するのをチャレンジ。 これはヒューストンの年間平均気温の推移を示したもの。点がその年の平均気温。 トレンドとは、点のあいまを抜ける直線の傾きをいう。 1975年から2010年までの35年分なので、区間的…

ヒックスの読むケインズ確率論

『ケインズの確率論』については極めて不十分ながら、以前ブログに書いた。その立場は「論理説」とされ、 確率は推論を行うときに生じる未知さを表現する。無知とはことなる「未知」さを確率として定式化できるというものらしい。「推論の重み」が確率なので…

なぜに原子力工学に第二のフェルミは出ないか

シカゴ大学にはフェルミ研究所がある。彼はアメリカに亡命して、ここに職を得た。 ご存知のように、フェルミは理論と実験、両方共超一流の業績を残した。 フェルミ・ディラック統計や彼のベータ崩壊の理論ではニュートリノを予測している。原子炉の原型を作…

中国のスマートシティ

中国は広東省の省都広州市の郊外に中国とシンガポールの肝いりで進める国家共同プロジェクト「中新広州知識城=広州ナレッジシティ」が稼働している。 日本からは日立製作所が参加しているが、これだけの巨大プロジェクトは世界でも少ない。 大きな地図で見る

メタンハイドレートの処置

日本近海にはメタンハイドレートが豊富にあり、それを採掘できるようになれば国内のエネルギー需要を1世紀は満たせる。 そんな議論がここ数年、あちこちである。 それは、ウレシイ知らせだ。 その一方で、「メタンハイドレートは資源ではない」という説得力…

アルキメデスの多面体

古代社会(ギリシア−ローマ期)最大の数学者アルキメデスの業績というと、定番なのが、放物線の面積の算出=取り尽くし法とか円周率の厳密な算定、あるいはテコの原理や浮力の原理である。そうそう、球の体積の公式を求めたのを忘れてはならない。 近代的な…

フリッツ・ラングの知られざる名作

ドイツの名匠フリッツ・ラング『月世界の女』(1929)を鑑賞しよう!映画において、ヘルマン・オーベルト博士は技術面の顧問をした。V2の先駆的なミサイルまで登場する。

貿易から見る国際関係

世界各国の貿易統計を大胆に集約してみると国際関係が浮き彫りにされる。 2010年の貿易統計から何がわかるかをトライしてみよう。 輸出構造から行くとしよう。 輸出先第一位の国だけを選び出し、日本→アメリカのように結びつける。 日本を含むブロックが…

国際組織の加盟の共通性から探る孤立度と親密度

国連やユニセフ、WTOやらアセアン、インターポールや赤十字など国際組織は山ほどある。また、アフリカだのスペイン語国だの地域と言語の仕切りもある。 ここでは306個ほどその代表をとりあげて、ある国がどの程度孤立しているか、ある国とある国がどの程…

Webマップのサンプル

個人でもWebクラウラーを動かしてサイト構造を把握出来るんだぞ! サイト内のページのリンク構造を図示してみた。2011年11月25日時点のものだ。NHKのマップ Sonyのマップ オリンパスのマップ 純感覚的な意見としては、もちろん上のような表現方法に依存す…

国別の排他的経済水域の比較

主要国の国土面積と排他的経済水域(FEZ)の大きさの対比をwikiに基づいて実施してみる。 ここで主要国とは、アメリカ、ドイツ、中国、英国、韓国と日本であります。 比較の計算はスケール則による。面積を正方形に直し、それを図示するのですな。 実寸を含…

フラッシュ・クラッシュにおける制御不能性

自己崩壊的な株価暴落が昨年、アメリカで発生している。それもわずか数分の間に千ドルも暴落して、半日もたたずに旧に復している。 その日、一瞬、アクセンチュアの株が5セントになったのだ。 2010年5月6日に発生した瞬間暴落はこれを問題視したSECが5ヶ月…

宗教シティ 天理市

「おやさと」と信者たちが呼ぶ豪壮な宗教都市「天理市」を空から訪問してみよう。 なるほど、見事で巨大な結界が地表に展開している。甘露台が「ぢば」=結界の中心であります。ここが教団、いや世界の中心ともなります。天理市は祭典の都市となったわけであ…

今宵、由紀さおりだけではなく、いずみたくも!

今宵、由紀さおりだけではなく、いずみたくの復権を! アメリカのヒットチャートに由紀さおりの日本語アルバム『1969』が浮かびでたそうです。また、先月のロイヤルアルバートホールのリサイタルでは、スタンディングオベーションを勝ち得たとか。 快挙…

珠玉の埼玉の神社群

埼玉県は深い泉であります。武蔵国の本体は東京ではなく埼玉でありました。 そのエビデンスを幾つかメモしておきます。古代的観点、歴史宗教的観点からの埼玉の珠玉を論じてみたいのでありますな。 まずは、氷川神社。この神社の起原は古い。武蔵国一ノ宮で…

書写山円教寺

白洲正子の『西国巡礼』の第27番は「書写山」だ。 ここは播磨/兵庫県のハズレにあるが、その開祖的存在の性空上人は都の兼好法師が敬愛したし、あの和泉式部も上人に当てて詠んだ歌があるそうだ。当時から有名だったということだろう。 暗きより暗き道に…

金の価格と世界のGDP

金の価格の高騰はやや峠を越した感もあるけれど、これからも繰り返すでありましょう。ここで世界全体のGDPとの対比をしておくことも無意味ではないでしょう。 まずは、近年の金の価格推移を示しておきます。USの1トロイオンスあたりの価格$であります。 …

北半球の大地震

今月の地球規模仮設はこうです。 北半球の巨大地震は南半球よりはるかに多い 事実の確認から。 1950年から2011年までのマグニチュード8以上の地震の発生場所を赤く出力しています。 36回発生していますが、そのうち24回が北半球で生じています…

西高東低の日本の医学研究の国際的受賞歴

日本の医学研究の地域性を国際的な医学の3つの賞「ラスカー賞」「ガードナー国際賞」「コッホ賞」を出身校で比較してみた。近畿圏の圧倒的な強さが浮き彫りになる。 京大のアカデミックな雰囲気はよく知られているけれど阪大や神戸大との切磋琢磨もその強さ…

傍観者からのアメリカの医療研究の眺め

知人の小児科の教授がアメリカの医学研究が低迷していると言うのを意外な思いで聞いた。20世紀を通じて医学の先端はアメリカが担ってきたと思い込んでいたからだ。 それに関連して幾つかの情報が耳目を引いたので、紹介しておくとしよう。 日経サイエンス201…

饕餮の顔の再現

古代中国の青銅器に登場する饕餮(とうてつ)の顔貌をなんとか把握したいという厳粛な動機で再チャレンジです。牛の顔をした怪異な神です。白川静によれば異民族の神を殷が守りの神として扱いだしたらしい。 どれがまなこで、どれがツノだかわかりますか? …

竹島問題と出雲神話

無責任日本一の発言をする。竹島問題は日本古代史から解決すべきである。 それは図らずも領土共有化という国際法上ありえないソリューションに逢着する。 そのアホなロジックをじっくりと玩味いただこう。 出雲人は伽耶ピープルであった。その原典は記紀に記…

近代的な歴史家 新井白石

ノーマンの『クリオの素顔』を読み直していたら新井白石の名が出てきた。ノーマンはカナダ人の歴史家であり、安藤昌益の研究でも有名である。『クリオの素顔』は気軽に読める日本の歴史散策という感じの名随筆だ。 彼の言うとおり明治以前の近代的な意味での…