サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2012-01-01から1年間の記事一覧

なぜ社会科学には「定数」がないか

自然科学には多くの定数が出てくる。万有引力定数、光速、プランク定数、気体定数、クーロン定数...。 これは普遍的なものとされる。少なくともこれまでの観測上は不変とされ、地球上でもそれこそ遠い宇宙の片隅でも同一の値となると考えれている。 とこ…

ジョギングする成人男性は地球温暖化を招く

イタリアの大学教授がジョギングをする男性の二酸化炭素排出量とハイブリッド車のそれとを比較したところ、4人の成人男性のカーボン排出量はハイブリッド車を超えているとした。(日経サイエンス2011年7月号参照) これを誤解前提で「ジョギングする成人男…

事故と組み合わせ爆発

福島第一原発のような原子炉事故や笹子トンネルの天井パネル崩落事故を短縮化して表現するなら、大規模インフラにおける安全管理の手落ちということができる。 とくにその予兆を事前に察知し、予防設計するという意味で安全分析が不可欠なのだが、これが難物…

死に絶える死海

死海(The dead sea)が死につつあるというのは、冗談にもならない。毎年1mずつ水位が下がる。 灌漑用取水と鉱物採掘という人間のご都合のためというのは、いつものストーリーだ。 3000もの陥没穴ができている。 ありゃりゃ〜、だ。 mapで死海の南…

鳥たちをめぐる物語り

鳥類が恐竜たちの子孫であることはもう間違いのない事実だ。であるからには、鳥類が人類よりも先に進んだ生き物である可能性はある。 「そんな馬鹿なことがあるか、鳥が礼装したり、道具を自在に操るのを誰が見たのか?」という反論はごもっとも。 だが、そ…

sin(1/z)の等高線

三角関数といえども複素平面では侮れない。とくに孤立特異点を抱え込んでしまったら もうアカンのだ。どうだろうか、これがsin(1/z)の等高線であるけれど、三角関数の織りなす触毛帯なのだ。

お掃除のコンピュータ・サイエンス

年の瀬をひかえて、大掃除の時節の到来となった。 ここで、改めて掃除の意味を噛みしめてモチベーションをupさせよう。 住まいの掃除はなにか意味があるのであろうか? あーその、清潔にするとかゴミを捨てて居住スペースを確保するとか、そういう日常的な…

和算の偉大なる連鎖

円周率への日本人の思い入れというのは不思議なものだ。 通貨が「円」というのも国旗が「日の丸」というのも少々影響を与えるかもしれないが、それは明治時代以降だろう。 円周率のギネス記録で日本はいくつかレコード保持者を輩出している。 円周率の暗唱記…

台風24号の進路

今年一番の台風が今頃になって大暴れしている。 フィリピンのミンダナオ島に上陸し、200名以上の死者を出したとのこと。日本近海までは北上しないらしいが、進路を西に向けていることから東南アジア諸国は警戒を強めているそうです。Bophaと命名されてお…

ブレゲの時計 マリー・アントワネット

マリー・アントワネットの注文したブレゲの時計は、かなりの驚異である。 その名も「マリー・アントワネット」だ。18世紀末の機械技術の粋を結集した、このうえもなく贅沢な懐中時計なのだ。精密機械の世界遺産である。 自動巻き、時刻を音で告げる、永久…

女性脳科学者の奇跡の復活

脳卒中にかかった女性脳科学者の奇跡の体験をTED「How it feels to have a stroke 」で鑑賞しよう。ジル・ボルト・テイラーさん、2008年のタイム誌で影響力のある100人にも選ばれた。 左脳が機能不全になった瞬間を稀有な体験として嬉々として語る序章が圧巻…

地球温暖化についての異端的見方

かねがね思っているのだけれど、地球温暖化がこうも興味深いのは、それがSF的だからであります。 今年は一年中大気が不安定でしたし、アメリカではNYをハリケーンが襲う時代になってますし、北極圏の氷は最小となるやら、北太平洋の海水の酸化が始まるやら…

ロボット先進国になるべえや

先ごろ気がついたのだけれど、日本国の直面する大きな課題の幾つかはロボット先進国になることで解決できる。 大きな課題とは、1)少子高齢化で福祉分野の立ち遅れ、2)天災と人災の増加。地震や火山爆発ひいては原発事故への対処法、3)資源不足。逆転するには…

ホンマのマッドサイエンティストは誰か

実在した史上最高のマッドサイエンティストは誰であろうか? その定義は「天才的な科学者、かつとんでもない発明品をもつ常識欠如の奇人」である。 ひと昔前のSFでの定番人物である。最近でもアニメにはまだ登場することもある。 マッドサイエンティストの…

生物と都市計画

後藤新平を尊敬する台湾人は多いそうだが、東京市長であった後藤新平は元来衛生局長であり、医師だった。しかし、彼の名声は先見的かつ先駆的な都市計画家の業績にある。 ほぼ同時代人で都市計画を創始した人物はパトリック・ゲデスだ。彼の出自は後藤新平に…

海洋技術大国へ歩み出せ

日本の排他的経済水域(FEZ)は世界で6位(領海およびEEZ)である。しかも火山帯を含む海域であるため多くの鉱床をそのうちに含んでいる。 それが「東京・八丈島沖に巨大鉱脈か 熱水鉱床に似た地形発見」のようなNewsにもなるわけだ。 元来、ロボット技術にす…

ウィトゲンシュタインと異星文明

ウィトゲンシュタインの論理哲学、もしくはその後期哲学にはかなりキワドイ応用がありえる。 クリプキが読み解いた「規則のパラドックス」から始めよう。 これは教師が生徒に数列を教え、それに対して生徒はその規則とは異なる規則で自分は計算すると宣言す…

コンピュターと多神論

誰かが指摘していが、コンピュターやサイバーカルチャーは一神論的伝統のもとにしか生じ得なかったろう。 正直なところ、日本のような多神論的な伝統のもとではOSやレジストリなどような強力な規定を構成できなかったろうし、アルゴリズムやロジックのという…

オゾンホール:南極で89年以降で最小

この「オゾンホール南極で89年以降で最小」の記事読んだ? まことに喜ばしいことだ。フロン規制がようやく実を結んだ、かと人類の英知を賛える...その前に。2012年9月20日付けの記事も思い起こしておこう。 「金星大気一酸化炭素濃度が減少 太陽活動の…

一人当たりのエネルギー消費量

アメリカとドイツ、中国を日本と比べる

EVは未来車なのか

エネルギー効率や脱炭素化に向けて、電気自動車EVへの期待は大きい。 それにしても超えるべき幾つかの問題があることは否めない。 価格が高く、持続距離が100キロをようやく超えるくらいで、充電に数十分以上かかることや、電気供給ステーションが少な…

保守主義の疑似ニューロサイエンス

若い頃は自由主義的であっても、大多数の人たちは年取ってくると保守的傾向が出てくる。生活のパターンが固定化するのに並行的な現象だろう。 自分のライフスタイルを変えるのが難しくなるのだ。これは若い頃には西洋カルチャーに憧れるが、老いてくると日本…

オッペンハイマー

原爆開発の指導者としてのみ名が残っているJ.Robert Oppenheimer 中性子星の理論などもあるが、計算間違いが多く、QEDの業績に名を連ねるのは僅かなミスで逃していた。素粒子物理学をつくった人びと〈上〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)作者: ロバ…

一世代で自然環境が激変した事例

サハラ砂漠がかつては緑豊かな緑野だったことは、タッシリ・ナジェールの壁画などから知ることが出来る。その変化はこの1万年以内であったが、地質学的な年代スケールからすれば一瞬であった。 ところで20世紀になってから、地球温暖化が目に見えるような…

東南海地震の津波で大量死者

防災関係の学者の不節操に関しては遣る瀬無いやら、情けないやらで、呆れている人は多いのではないか。東日本大地震について危機の警告や予兆を言い立てる専門家がいなかったのはまだしも、今度は、1000年に一度クラスの大災害についてカエルの大合唱状…

新興国先導の新しいテクノロジーの不在

いつものように新興国の経済から書きだそう。 中国やインド経済の台頭が著しい。 安い人件費と勤勉で優秀な人材がその根本にあり、それにITがその発展を加速させたとは、多くの人びとが認めるところだろう。 この傾向がいつまで持続するかについては論議のあ…

宇宙は超巨大な素粒子実験装置

ひところ、超弦理論が科学かみたいな批判の声があがった。端的に言えば、なんでも説明できる理論は何事も説明してはいないということなんだろう。ましてや理論構築の現場、実験的な検証の埒外なのだ。 それを雄弁に語るのは時間経過だ。 仮に、第二次ストリ…

グリゴリーペックのマッド・サイエンティスト

B級カルト映画として有名な「ブラジルから来た少年」 エイハブ船長のグレゴリー・ペックは奇人科学者となりコミカルな役回りを演じる。 風雅で古典的な「ローマの休日」のグレゴリー・ペックとは違う。

クロード・シャノンの映像

情報理論の父クロード・シャノンに関する映像1)ジャグラーとしてのシャノン 老いたシャノン。ATT研究所つまり、ベル研ではジャグラーが多かったのは彼の影響か?http://www.youtube.com/watch?v=sBHGzRxfeJY 2)究極の機械の発明者 シャノンは機械製作の…

SF作家の想像力の貧困

サイモン・ニューカムという物理学者をご存知だろうか? ジョンズ・ホプキンス大の有名な数学者、物理学者、天文学者だった、このヒトはSF作家でもある。 なんと、黒岩涙香の翻訳があるのだ。 「暗黒星」 原題は「The End of the World」 青空文庫で読める…