サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2009年の国内ガン死亡を読む

国立がん研究センターの新しい統計をもとに国内のガン死亡数の概要把握を試みます。ここでの数値は、2009年の「全がん死亡数・粗死亡率・年齢調整死亡率」を利用しています。 男女別、年代別(十歳区分)、県別に死亡数が下表となります。年間34万人が亡くな…

20世紀後半の論理哲学者クワイン

ラッセルが「技巧は最高だが論理的常識に乏しい」と賞めた(?)クワインの インタビュー映像。あのブライアン・マギーがインタビュアーである。そのクワインも故人となりました。 デュエム=クワインテーゼは刺激的で、素敵でしたが。

正多角形な城塞都市 パルマノヴァ

イタリアに典型的で典雅な城塞都市「パルマノヴァ」が現存する。16世紀の都市だ。 進化した砲術への幾何学的防衛術として、生まれた都市だ。別の文献では地相術によって構想されたとしている。 遠来の客には美しくも奇妙な都市であるが、住民には迷惑な都…

千葉県の地名の古代

千葉県、つまり房総半島は古代にあっては拓けた土地でありました。上総、下総、安房と3つにわかれていたので、地方豪族の勢力圏もそれだけ細分化されていたのでしょう。鎌倉時代以前には武蔵や相模などは、千葉に比べれば、ど田舎だったんじゃないですか。 …

1930年代ポーランド数学者のたまり場

1930年代ポーランド数学者のたまり場とくれば「スコティッシュ・カフェ」です。バナッハ、マズール、シェルピンスキー、ウラム、シュライエルらルヴフ学派の数学者たちが集った。 ルヴフ学派の数学者の談論風発の場だったのです。 そして、ここで議論された…

ウィーンに同時期に生きたポパーとウィトゲンシュタイン

面白い映像があった「ウィトゲンシュタインとポパー」 ポパーの自伝にちょこっと出てくる有名なウィトゲンシュタインとの正面きっての 対談=対決は、いまだに興味深い。師匠のバートランド・ラッセルの目前で行われたことに鍵があるとエドモンドは指摘する…

輸送のエネルギー効率性比較の根拠

日本のGDPの一割はヒトとモノの物流が占めている。 ある意味、国の競争力の根幹を物流が担っていると言ってもよいであろう。そして、その運行システムの頑健性(事故災害への強さ)や迅速性(輸送速度と頻度)、正確さ(時間通りの運送)では、日本は国際的…

主要国の鉄道力を比較する

前のブログ「交通網のスケーリングによる国家比較」に引き続き主要国(日本、アメリカ合衆国、中国、ドイツ、イギリス、韓国)の鉄道力をより詳細に比較してみよう。 ここでも国勢スケーリングにより無次元化した指標で比較します。 国勢スケーリングとは国…

第五世代コンピュータの夢

1980年代に経済大国となった日本のもろくも儚く過ぎ去った「夢」として第5世代コンピュータの華々しさは、後の世の語りぐさにすらならなかった。 第五世代コンピュータとは何だったか。 要約しておく。1982年通産省の肝いりで開始された国家プロジ…

交通網のスケーリングによる国家比較

交通網、鉄道総延長や舗装道路総延長を国家どうしで比較してみました。その場合に 役に立つのはスケーリング概念です。 要するに、国の地理的な大きさを特徴づける「長さ」を取り出して、無次元数をつくるのです。 交通網を無次元化するのに、ここでは、国土…

荘子の末法思想=五末の説

荘子の五末の説は示唆に富む。 末法思想ではないけれど、世につれ人につれ、世情が衰退する。その理を荘子は5つの徴で解き明かすのである。一に、武力を用いる徳の末。力に訴えることを制度化するのは、人徳が衰えた兆しだ。 二に、賞罰を用いる教の末。金…

レフ・ランダウについての覚え書き

ソ連有数の理論物理学者であったランダウは熱烈なトロツキストであった。 反政府的な活動で投獄されたが、奇跡的に放免されている。スターリン体制下で投獄されて放免されたケースはきわめてまれだ。しかも彼の場合には、ほんとうに有罪だったのだ。反スター…

タイの首都の正式名称

タイの首都といえばバンコク。 本当のタイの首都の正式名称。 バンコックの本当の名前を知らなかった私! 185文字のアルファベットである。 Krung­thep­maha­nakorn­amorn­ratana­kosin­mahintar­ayutthay­amaha­dilok­phop­noppa­ratrajathani­burirom­u…

不死のヘンリエッタ細胞=ヒーラ細胞

60年前に亡くなった女性のがん細胞が増殖中である。女性はアメリカ人ヘンリエッタ・ラックス。 試験管(in vitro)の中で彼女は不死となった。 その数字の上での不条理さを記述してみよう。 ヒーラ細胞はがん研究で有名な細胞株で、世界中の研究室に分与され…

天才不稔仮説 アインシュタインの場合

アインシュタインが生涯2回結婚し、子供が三人いる。天才不稔性=別種仮説の反例ではないかという指摘があった。 初回の結婚相手ミレヴァは、彼と同じ物理学徒であった。結婚生活は数年で破綻している。次男は55歳で亡くなっている。 その子供の一人(長…

クロード・シャノンの映像(一瞬だけど)

ディジタル時代の先駆者クロード・シャノンの映像があったので、リンクする。 1960年代のコンピュータを背景にして一瞬のインタビュー映像だ。 シャノンの業績は「情報理論」の基礎を一撃で構築したことだが、暗号理論や符号化理論など幅広い適用があっ…

ディヴィッド・ボームの評価メモ

20世紀の物理学者ディヴィッド・ボームの評価はよく定まっていないようだ。 ボームというとボーム・アハラノフ効果が専門家はすぐ思い浮かべる。日本の研究者外村彰氏がそれを実験ではじめて検証したのだ。 それから、みすず書房で出ている『量子論』。1…

旅人の憩い ビジネスマンにおくる寓話

時間の流れる速度が緯度につれ変化している世界のハナシ『旅人の憩い』は、SFであるけれども、よくあるたわごとのような小説とは違う。 始まりは戦場。ここで主人公は軍役を解かれ、内地(緯度を下った平和な世界)に戻るところからスタートする。彼は戦場を…

リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド

フィッツジェラルドの短編は痛々しいくらいに若々しい。表題作はある典型のハシリとなった。バカバカしいまでのスーパーリッチの華々しい最後。 作者自身の生涯で見聞きした金持ちたちの生そのものか。 モンタナの山奥の自分の王国と壮麗な宮殿と築いたワシ…