サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

太平洋戦における日本の暗号解読

太平洋戦中の面白いエピソードを吉田一彦の「暗号事典」で見つけたので、報告しておこう。 実は日本も暗号が漏れている可能性についてはウスウス気がついていた。しかし、有効な対策が打てないままで終戦=敗戦を迎える。そのイキサツがかなり刻銘に分かった…

京都の出版社

出版社は東京一極集中だ。大手の本社はほとんど東京に所在するのだ。 二番目と見渡した時、視野に入ってくるのは京都だ。 古都京都に息づく出版文化なのである。良き哉。 私の手持ちの本からいくつかあげてみよう。 現代数学社 ナカニシヤ出版 世界思想社 京…

満州国と石原莞爾

安彦良和の『虹色のトロツキー』が満州帝国を舞台にした、動乱の時代のコミックというのは、 貴兄、ご存知であろうか。 登場人物たちが、いい。 夕陽将軍石原莞爾、狂言回しの辻政信参謀、合気道の創始者植芝盛平らだ。 ストーリーというほどのものはないが…

Kindle読書術

Kindleは標準でPDFを読めるようになっている。つまりは、電子書斎の不可欠なデバイスとなりうると思う。 それを示すために、近著の一部を利用させてもらうとしよう。 「iPadでつくる「究極の電子書斎」 蔵書はすべてデジタル化しなさい! (講談社+α新書 531-…

原発事故 グランドゼロ

1986年のチェルノブイリ事故の跡地は「人類の消えた世界」の原イメージをもたらしたようだ。それとハリウッド映画「アイ・アム・レジェンド」の世界にもつながる。 爆心地から数キロまで、あたりは自然がよみがえり森林が廃墟に押し寄せてきている。タル…

電子書斎の持ち味

パソコンでコンテンツをすべて管理する「電子書斎」。その中身の大半は紙からのコンバージョンしたコンテンツである。 クールな人ならSOHOそのモノじゃんと言いそうだし、ポップな若人ならスマートフォンでやってることだと鎧袖一触でお仕舞いかもしれない。…

インド・イスラームの原子論

退屈な専門書を読んでいると眠気を催してしまう。けれどもなかには眠気覚ましになるような事実もあって、退屈なテレビ番組よりドッキリハラハラさせられる。如何にも大げさかもしれないが、そのひとつがインドの原子論だろう。 仏説に六師外道という思想家が…

電子書斎

情報がコンピュータに移行するのは時間の問題だったのかもしれない。もともと記号を処理する機械として、入力装置・演算装置・出力装置の組み合わせがコンピュータの出発点だった。 入力装置の起点はタイプライタにある。タイプは入力すると即座に印刷物とい…

書斎電子化のススメ

アインシュタインとラヴクラフト

このまったく異質な人物の対比で何が言いたいか。しばしお付き合い願いたい。 パルプマガジンにマニアックなホラー小説を発表しつづけたラヴクラフトは1890年のアメリカ東海岸生まれである。1937年に亡くなるまで、マイナーな三流小説家として一部の…

Kindleの電子書籍リーダーとしての価値

最近は、Kindleを国内で取り上げるメディア&ニュースが少ない。 ついでに言えば、車内やカフェなど街角で見かけることも本当に少ない。 でも、だからこそ価値があるのだ。それをにここでは、好敵手iPadと比較しながらまとめてみよう。 iPadは誰でも国内で入…

歴史の始まり

歴史というのは何とも不思議なものだ。単線的な個人の人生のあゆみでもなければ、一族の系譜でもない。 そもそもは、組織と社会といったものの由来や変遷を出来るだけ筋道立てて理解としようと試みだった。 東西の代表格でいうと司馬遷「史記」とヘロドトス…

現代文明の臨界性に関する参考論文

いろんな意味で現代文明の臨界(方向転換もしくはターニングポイント)に関わる論文を日経サイエンスからピックアップしてみた。 1998年08月号 知能はどこまで遺伝するか [ディープインパクトを防げ] 1999年12月号 特集 ティラノサウルス再発見 「軌道を変え…

どうでもいいリサーチねた

鼻くそは英語でboogerだそうな。語感が伝わらないがキタナサは込められている。 この鼻くそ!−もっとも効き目のない罵倒- イグノーベル賞は笑いと奇妙さとどうでもよさが混在している研究に与えられると理解している。 そのなかに「思春期における鼻くそほじ…

ネガティブのパワー

ワンピースのウソップに捧ぐうつの時代で、自殺者3万強。先行きと逃げ場のない生活 やりきれない事件の多発。 こうした社会的な気分は現代日本の特有のものではない。 まず、文化的な事態として「悲観的」なものの見方がどれほど多くの時代にどれだけ多くの…

銀河帝国の歴史

ハリー・セルダンは心理歴史学の天才科学者で、銀河帝国の崩壊を予測し、次世代政治体制の確立に向けた大掛かりな歴史コントロールを仕組んだ。ご存知、SF界の巨人アシモフの「ファウンデーション・シリーズ」の背景だ。 しかるに、21世紀の現実は「歴史の…

その時、歴史が動いた:「ヘレン・ケラー」

数年前までお茶の間歴史ファンの愉しみであったNHKの番組「その時、歴史が動いた」 その中でも地味ながらもっともジーンときたのが、「ヘレン・ケラー」だった。 古いやや差別的響きのある「盲聾唖」。まさにその三重苦でありながら大学を出て一身の独立を勝…

「日本無罪論?」のパール判事のこと

パル判決書は翻訳書でも1600ページになんなんとする浩瀚なものであるが、それは日本無罪論では決してない。ましてやパール判事が日本軍部の真の理解者だったわけじゃない。 連合軍のキーナン検事らの侵略行為や共同謀議などに関する検察側の訴追内容にこ…

電子書籍 & Kindle DXの使い心地

読書用の電子書籍専用の端末として「Kindle DX」は気に入った。米国Amazonが販売している電子書籍リーダーだ。*1 その長所はこんな感じだ。iPadを意識してまとめてみた。 1)iPadより軽い、薄いので持ちやすい。また、持っている片手で操作できる。つまり…

突然昇温:温暖化への杞憂?

毎日毎日の酷暑の日々で、本当に夏らしい夏でした。 過去数万年の気象変動を地道に研究する分野がある。その近年の発見(というわけでもないが)であるヤンガー・ドリアス・イベントは、少々私たちを不安に駆り立てるものがある。 何が、って。 そうだネ。従…

文化人の蔵書の行方

近著のコラムから、「文化人の蔵書」を紹介しよう。 代表的な文化人について蔵書がどうなっているかを調べたので、報告しておこう。 作家井上ひさしの蔵書は現在、山形市の図書館「遅筆堂文庫」に寄贈されている。総量は約三万冊である。 珍しいケースとして…