サイエンスとサピエンス

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20世紀から21世紀までの物理学の創造性の移り行き

 現在の半導体などを含むにした電気電子技術は原子物理学と量子論支配下にあるだろう。言い換えると技術開発や新技術を統治しているのは物理法則だといってもいい。

ここでは「なんとか効果」(例 ホール効果)という物理的な現象の発見の数の推移を20世紀から21世紀まで10年単位で集計してみた。

 

縦軸は効果の数であり横軸は10年刻みの年数である。

 わかるように20世紀前半1930年にピークがあり、第二次世界大戦を底にしてから、60年代と70年代に第二の山がある。それ以降は減少に転じている。21世紀も回復はしていない。原子物理学と量子論を土台とする物理現象の新規発見は増えていないのだ。

 西洋国家における物理学者の数についての興味深い数値がある。

「節目の1900年時点でドイツには103人のアカデミックな物理学者がいた。うち16人が理論家である。...他国ではもつと少ない。米国には99人の物理学者で3人が理論家。英国では76人いて、理論家は2人にすぎない」とM・エッケルトが報告している。

 20世紀前半のアカデミックな物理学者の総数などは1930年代といえども1000名未満であっただろう。

1930年代は後期量子論とその応用としての(電子)物性論が発達した時期である。

現代物理学の黄金期でもあった。

 それほど少ない共同体であっても、ここ数十年の発見数を上回ったということは何を示唆しているかだ。

 おおむね、ITのもとになる電気電子技術は組み合わせと微細化で現代のような高度なレベルを達成したということだ。新しい法則の適用による抜本的な基礎技術が絶えず加わっているのではないということだ。