サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2021-01-01から1年間の記事一覧

アメリカの鳥類と日本の鳥類の物語ること

2014年のナショジオの記事『米国の鳥類、深刻な生息状況』によれば種によって明暗があると報じれられていた。それが、2019年のギズモードの記事では『北米では鳥の数が3割も減っている』とあって、なんか末期的な雰囲気が出ていた。 www.gizmodo.jp なんでも…

コロナ感染のファクターX絞り込み

日本のコロナ感染の状況が他国と大きく異なっている、その要因を京大の山中教授は ファクターXと呼んだ。生物学的、とくに遺伝的要因を念頭においた命名であろう。 しかしながら、日本には200万人もの外国人が在住しているのだから、それは少々疑わしくなる…

人工知能(AI)が人間を模倣できない準科学的な根拠とは

答え、無理な理由が仰山ある。 そもそも人工知能は大脳もしくは神経細胞網の電気的かつ論理的モデルでしかないからだ。 ニューロンの電気的な挙動、電位が高いか低いかを物まねしたに過ぎないニューラルネットは、細胞の繋がりとその挙動を転写した素朴なモ…

逃げ切れない災害の時代に

12月の大阪の放火による無差別殺人は従来の消防法に従っていても逃げ切れないことを示していた。ここはひとまず、被災者のご冥福を祈ろう。 なにしろ、ひとつしかない非常口を背にして放火魔はガソリンをばらまき、着火させたのだ。 逃げようがないではない…

非アメリカ系知識人しかいないコロナ時代の島国

コロナ発生騒ぎ以前からだろうか、ひとつ気になった言論について時代の風潮がある。 もてはやされる海外知識人いうのが、どの時期にも存在しているのわけなのだが、 アメリカ人はいないようなのだ。 時代の先端と将来像をかたる人物はの需要はいつにもまして…

おおよその震源までの距離の推測方法

このところ、大都市近郊での震度5,6クラスの地震が多いようだ。豆知識として、 おおよその震源までの距離の推測方法を説明しよう。とても簡単だ。 はじめに地震の揺れの名称から確認しておく。最初に来る縦の揺れがP波=primary wave。次に来る横の揺れがS…

貴重な調査地図 国内線刻文字の地図

古代日本の漢字以前の文字を信じる人は少なくない。あの平田篤胤も神代文字論を残しているのだ。 下図は昭和の調査結果の地図イメージだ。昭和時代は古代日本への学問的な関心が盛り上がった時期でもあり、様々な奇説珍説もあった。 ペトログリフなどという…

自国語で科学できる言語は少ない

前にも同様なテーマを考察したことがある。 「自国語で科学研究できる言語はどれくらいあるだろうか」 ノーベル物理学賞受賞者の故 益川敏英氏は英語が苦手だったときく。それでも一流の研究ができたのは、学術用語が日本語で定義されており、日本語を母国語…

古代の伝統 テセウスの船とノイラートの船

しばしば、日本文化は縄文文化を受け継いでいるとか、弥生文化の伝統が生きているという主張をみかける。 言語的な観点でいえば、両文化ともその時代の言語が現代日本語のどこに相当するかを識別することが難しいので、文化的伝統がどうなっているかを語るの…

技術者 エンジニア語源のメモ追加

以前にもエンジニア=engineerの語源を調べたことがあった。 その補足情報だ。 英語のengineerはラテン語のingeniumから来るらしい。才能にあたることばだ。 技術史家のアーミティジによると 紀元二○○年に発明された戦争機械を記述するために、テルトゥリアヌ…

ライン、あるいは線の実在性

線(ライン)は日々の活動のいたるところに現れる。「歩く、織る、観察する、物語る、描く、書く」ことはラインにそって進行すると文化人類学者インゴルトは指摘している。インゴルトの洞察はあとで触れるとして、自然界における線(ライン)はどうなってい…

中国大変調2 人民の不満の矛先は

中国世論のニュースで『中国人の日本の印象「良くない」大幅増』が10/20に朝日新聞サイトで報じられた。どうも中国だけではないようで、5月のアウンコンサルティングの調査では「嫌われつつある日本と日本人、多くの国・地域で「嫌い+大嫌い」が増加」とさ…

関東大震災発生100年まであと2年

子ども頃から東京近辺の人たちは関東大震災の記憶を刻みこんできた。そうこうしているうちに、1923年の発生以来、もうじき100年となる。 あんな被害、二度とゴメンだという気持ちは、みな同じだろう。予知、防災、減災と日本人は努力を積み重ねてきた。 予知…

現代人がパスワード入力とパスワード管理にかけるロスタイム推計

パソコンやスマホなどでプライベートな情報にアクセスしたり、会社や学校のイントラネットにVPNで入ろうとしたりすると必ずパスワードを要求される。 また、定期的にパスワードを変更することも求められる。 セキュリティ対策であり自己防衛として必須である…

中国の大変調

イヤはや、中国の経済と政策は迷走気味です。 習近平は「共同富裕」を掲げました。格差是正をトップダウンで行うという方針です。これは、どうも実効がともなう政策となりつつあるようです。 手始めは学習塾の禁止です。過熱する受験競争に歯止めをかけると…

中国人の人口の歴史の奇妙さ

上田進の本から抜いてきた中国での最新の歴史人口学の成果だ。 その長大なる2000年の歴史を通じて人口をなんとか再現できる、唯一にして最長の民族であることがこの推測統計の成果をなさしめた。 統計学者の竹内啓はその有終の美を飾る歴史展望の書『歴史と…

楽観主義者は最適化を光の世界で考える

楽観主義はoptimismだが語源を考えると最適性の英語optimalと関連している。 もちろん、最善世界を考えたドイツの哲学者ライプニッツの思想がその底流にある。 それを悪意を込めてからかったのが、フランスの偉大な文豪ヴォルテールである。 多忙な現代人は…

空気の中の悪魔 ダストと病原体 シナリオ

身近な危険物となりかわった「空気」それなくしては生きていけないが、コロナウイルスのような有害物質をふんだんに含む「危険物」でもある。 その発見数は公害の世紀であった20世紀から、あからさまに右肩あがりだ。「気候温暖化」はその別なリスクであるが…

『細雪』のリミックスによるSF化計画

谷崎潤一郎の『細雪』の本歌取りSFの構想を述べる。 あの芳醇な文学をデジタルなリミックスによりSF小説化する。芸術の冒涜ではなく100年後の末裔からのオマージュだと考えてほしい。 谷崎の文学業績は明治以降の一大巨峰であり、その芸術性では芥川や川端、…

ルドルフ二世は我らの同時代人

ルドルフ二世などというと遠い過去の東欧の高貴な王族くらいに考えるのが通例だろう。 正確に言うなら16世紀にヨーロッパ(スペイン、オランダ、ボヘミア、ハンガリー)を統治したハプスブルク家の当主だ。1552年から1612年の生涯は日本の安土桃山から江戸時…

人類に牙を向け始める地球大気

事の始まりはキーリング曲線だったのだろう。 ハワイのマウナロア観測所で長年のCO2濃度のモニタリング結果を示す印象的なカーヴだ。2000年に入ったあたりで有名になったのだろう。 地球温暖化の象徴的ファクトとして語られるこの炭酸ガスの濃度曲線は、8年…

SFショート・ショート漏洩作品 「種の起源 3.0」

世界的なコホモロジー数理生態学者であるジェニファー・ダイソン・ユーコplusはその日の学会での基調講演を終えようとしていた。トランスネット・コンファレンス2030が歴史的な事件になった瞬間である。 その名に付いたplusは世界に五人といない天才に与…

認知症の知的冒険

老化して記憶力とともに感覚器の能力も低下してくる。そうなるとバークリの観念論の適用できる状況におちこむ。 「存在するとは知覚することだ」 バークリ僧正の正しさは痴呆化した老人にあてはまる。 服装のだらしなさ、部屋のゴミ、会話の一貫性のなさは、…

核兵器の安全性とその危惧

最近、危惧を抱きだしたのは核兵器の安全性です。 現在、核兵器を保有する国々をご存じでしょうか? 核爆弾を保有する国 (大国)アメリカ合衆国、ロシア、イギリス、フランス、中華人民共和国(勝手我儘国)インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエル(被疑国…

主流派経済学の不都合な真実 近代世界システム論との関連性

はじめにノーベル経済学賞の国別受賞者数の比率をご覧いただきたい。 以前から不思議に思っていたが、英米圏の経済学者に対するこの偏り(7割以上だ)は何に由来するだろうかと。アメリカ合衆国だけで59人に上る。イギリスは9人だ。 ノーベル経済学賞は北欧…

文明の衰亡のシステムダイナミクス

21世紀に初頭から現代文明は変調をきたしている。歴史家や経済史家、科学者らはそれぞれ危機意識を込めた「衰亡論」を提案している。それと並行して「世界史」ものも話題になっているが、これも人びとが過去をマクロな視点で振り返りつつ、次にどう歩むかを…

東アジアの隣国の原子炉とその事故の確率概算

東アジアの隣国とは、中国と韓国であります。両国とも原子力大国であります。 そのレベル5以上の事故の確率を概算するからといって、別に差別するわけではない。日本は「先進国」だから、福島第一原発事故を起こしているわけだし、INESレベル7の事故なので、…

超長い振り子の方程式を解く

かのアルキメデスは「足場を与えてくれ、さすれば大地も動かしてみせる」と言った。古代最大の数学者で物理学者でもあったこの人の夢は、人工衛星を自在に運用できる現在、ある意味で実現している。 はるか後代のガリレオ・ガリレイは、同じくイタリア半島の…

世界的な食糧価格の値上がりが忍び寄る

農林省の「世界の穀物需給及び価格の推移」によれば、2021年になって食糧価格は急速に値上がりを始めている。そのサイトのPDFの抜粋を示す。 コロナからの回復と世界各国の消費意欲=食欲の上昇は不可避なので、2008年来の食糧の高騰と危機になるだろう。 し…

カルフォルニアの乾き方(長期傾向をみる)

なんでも2021年6月になって、アメリカのカリフォルニアの異常高温が始まったようだ。例年どおりになった感じがあるので、異常という接頭辞は不要になるかもしれない。 カリフォルニア州の三都市の年間の気象情報を調べてみた。その三か所は州都サクラメント…