サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

月都ハランへのボルヘス的探究

はじめに月都ハランに触れた記述はJ.D.バナールの『人間の拡張』の1972年版の翻訳であった。もとは「賢者」バナールの物理学史講義だ。 そこにはこう記されている。 ここでいいたいのは、タレスは少なくとも過去200年にさかのぼる非常に長期間に日食表にもと…

アメリカ中西部穀倉地帯 怒りの葡萄の21世紀的行方

ジョン・スタインベックの名作『怒りの葡萄』でオーキーと呼ばれる農業からあぶれた失業者たちが職を求めてさまよう。そんな時代に起きた大平原地帯の干ばつと不毛化という危機はどう回避されたか、その問いは、自分的にはしばらく答えのないままであった。 …

偉大な数学者に丸禿げはいない

何ゆえか、数学者には禿げを見かけることは少ない。偉大な数学者にはいない。 それを偉大な数学者の画像で確認しよう。 やはり信頼できる肖像画や写真が残る近代以降に限られる。 天才の世紀ともいわれた17世紀、デカルトとパスカルから始めよう。 デカルト…

精神疾患、とくにうつ病に関する企投的仮説

精神疾患のような原因が特定困難な病は社会の好ましからざる変化や要因が影響している可能性が高い。 とくに世界的に増加傾向にあるうつ病。この原因はいまだに特定できていない。 そもそも、一つの病であるとすることもなかなかに難しいようだ。 腫瘍マーカ…

ハイデッガーの『技術とは何か』を読む。あるいは細胞内の海

根源語の魔術師ハイデッガー「技術とは何か」を読んだ覚書が以下となります。 技術ではなく、技術の本質をつかむこと。両者は異なると哲学者は初めに断りを入れる。まずは、古代ギリシアの4原因説のおさらい。 質量因 どのような素材からつくられているか …