サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2013-01-01から1年間の記事一覧

科学業績の中心国の歴史地理的移動の傾向

20世紀、科学の中心地は大まかにヨーロッパからアメリカに移動した。それを実証的に示したのは湯浅光朝という科学史家である。それ以前にもイタリアからフランス・イギリスへ、そしてドイツへと中心地は次第にシフトしていた。 以下、中島秀人の要約を要約し…

ダイヤモンドの「文明崩壊」の弱いところ

ジャレッド・ダイヤモンドの『文明崩壊』を遅蒔きながら、読了した。 モンタナ州の現状が長々しいけれど、それが地球環境のひな型であると考えれば許容できる。ほとんどの文明の崩壊を招いた原因は「森林破壊」だとして、著者は幾つかの顕著な事実を突きつけ…

ビッグ・クエスチョン

「人間とはなにか」 宇宙的視野をもった疑問とその挑発的回答という系列がある。自然科学に基礎をおいた欧米流の問いかけが、ここに三種類ある。 マックス・シェーラーは現象学の鬼子の一人である。フッサールの門下でハイデガーの兄弟子にあたる。彼の回答…

慢性閉塞性肺疾患の増大の一因子

慢性閉塞性肺疾患(COPD)はここ数年で急速に増大している。30年間で4倍になったと額田勲が特記しているが、高齢社会でもっとも注目されている疾患であるとしている。同時にもっとも恐ろしい疾患とも言われている。 一般財団法人COPD日本委員会によれば、死…

中国が気象操作技術の先進国になる日

冬場の大気汚染と夏場の少雨で苦しむ中国が遮二無二に突き進む工学的な回避方策は「気象コントロール」である。 欧米や日本などより進んだ気象コントロール装置を大々的に開発する可能性も十分ある。 気象SFの名作ベン・ボーヴァの『天候改造オペレーション…

ドリルメカの先祖 フナクイムシ=shipworm

フナクイムシがシールド工法の発想をブルネルにもたらした。 フナクイムシは二枚貝である。その片方がおろし金のようになっている。木を削るに際して、この貝は吸盤で木に密着する。 そして殻のおろし金で木をこすり取り、それを食するのだ。 マーク・イサン…

その意味で、ベイジアンの時代なのかも

哲学者、木田元が『今の社会は大変に興味深い時代です。何しろ起こるはずがないと考えていたことが次々と起こるのですから』と語ったのは2008年のこと。 木田元は『偶然性と運命』でその問題に取り組んでいたから、そういう問いかけができたのだろう。その問…

本日の中国のPM2.5的大気汚染

本日の中国大気はPM2.5の被膜に全土が覆われている。海岸線にそってほぼ壊滅的な汚染状態だ。 北部の河北、山東、江蘇省は内陸まで汚染が進攻している。広大な大陸をスッポリと包み込むほどの膨大な有害な塵埃が拡散しているのに脅威を感じる。 その危険度は…

歌詞と音符についての仮説

検証してみたい思いつき仮説。 日本語の歌謡とその主旋律に直接的な関係があるのではないか?ドレミファという音符は歌詞の母音とゴロ合わせになっているのではないだろうか? つまり、「ドレミの歌」のように「ド」と「ドーナツ」のドは歌詞と音符がほぼ対…

温暖化か? 寒冷化か? あるいはどちらも同時か?

11月13日付けの産経新聞系に「太陽元気なし 寒冷化予兆 11年周期の磁場転換起きず、黒点も最少」という記事が出ている。 大気圏の上層部はそれなりに毛布のような暖房効果を持つという。それが太陽活動の低下でそうでもなくなってきてるのだろうか? …

煬帝の墓発見で考える

暴政でもって自滅した随の煬帝の王陵らしきものが発見されたという。混乱期によくも墓地などにお隠れになれたと感心する。 王陵は考古学・歴史学の豊富な情報をもたらす。 特定の古代文明についてはその存在は圧倒的なものがある。エジプトのピラミッド群や…

あるといいデジカメ

プロジェクター付のデジカメ デジカメは日本の誇る電子製品であったけど、スマホに押されてトッピンしゃん。 抜けたらどんどこしょ。萎まる市場に、今や青息吐息の状態です。 その窮状を打開せんとここで提起するのは、プロジェクター付きカメラです。 それ…

最高のSF作家の一人 レム

20世紀最高のSF作家というと自分は咄嗟にスタニスワフ・レムと答えてしまう。 母国ポーランドでは文学者、思想家としても高い評価を受けているとポーランド人の女性から聞いたことがある。『エデン』『無敵』『フィアスコ』や泰平よんシリーズは今でも褪色…

糖尿病を語る

糖尿病(diabetes)について書き留める。 世界共通のシンボルがある。ブルーマークだ。今や先進国病でなく新興国病にもなりつつある。経済成長と疾病の相関性は統計的=疫学研究にはもってこいのテーマだ。 日本は世界で第7位の患者数なのだが、それは何に…

オダム『基礎生態学』を読む

故あってオダム『基礎生態学』(1991)を通読した。古いけれども自然環境についてワイドレンジで包括的な観点から、議論を積み上げているのは古典の名に違わぬ。 オダムの生態学は人間中心主義の科学であると断言できる。生態学は、いつの間にか人類がその生存…

諧謔の堕天使

ホザナ! 神の創造をあざ笑う諧謔の堕天使を認定しようか。天使の事典―バビロニアから現代まで作者: ジョンロナー,John Ronner,鏡リュウジ,宇佐和通出版社/メーカー: 柏書房発売日: 1994/12/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を…

四足歩行ロボ Wildcat

アメリカの軍産複合体の一つと推定される「Boston Dynamics」の産物、Wildcatが話題となっている。 この企業はWebを観ても正体がつかめない。DARPA(国防高等計画局)の委嘱を受けた開発なのでほぼ間違いなく、軍需用途である。つまりは殺人用の兵器での使用…

汚染物質の国家的濃縮

ここ数年来、中国の大気汚染は深刻な状況である。典型がPM2.5だ。隣接する国、韓国や日本などは戦々恐々としている。皮肉なことに大気が比較的清浄なのは飢餓に悩む貧困国家北朝鮮だということだ。 だが、観点をかえると中国は加害者であると同時に被害者か…

小林行雄の同笵鏡ネットワーク

古墳に付随する同笵鏡の関係図を地図に映し込むとどうなんるだろうか? 小林行雄の情報をGoogleMapに誰も写像していないのは日本人の怠慢なんだろうな。

お手並み拝見の時期は過ぎた

『サステイナビリティ学への挑戦』(2007年)を前にして、こう言っておこう。 「お手並み拝見の時期は過ぎた」 その内容や方針については良識あるものは誰も異を唱えることはあるまい。いかんせん、その教育システムで地球温暖化を阻止するのに顕著な事…

和算の技術史的な役割:あるいは算術的富国強兵

江戸時代300年間に飛躍的に発展を遂げ、維新とともに消滅の光輪を描いた和算。その和算は洋算(西洋数学)から見れば、競争力も普遍性もなく、所詮はヒコバエであった。 そういう評価は確定的であろう。 さりながら、ここでは明治の産業革命。19世紀の後進国…

イプシロンのジレンマ

新開発の小型低価格ロケット「イプシロン」。 その打ち上げに感服した一人である。リアルタイムでその場に居合わせた感を持てたのは言い知れない躍動感を与えた。 早速に新興諸国に、その売り込みが始まる。 その憂慮がここでの主題だ。 狭い地球の周回軌道…

技術者倫理とルメジャー技師

技術倫理は最近発展した学問だろう。自分が学舎におる頃には、ことばすら聞いたことがなかったものだ。 標準的な教科書としてはウィットベックのものがある。その中で登場する顕著な事例が、ウィリアム・ルメジャー技師のエピソードである。 シティコープ・…

ジェームズ・ワットメダル受賞者にみるアジア系

優れたエンジニアに与えられる「ジェームズ·ワット国際メダル」 ヘンリー・フォードやシコルスキー、フォン・カルマンなどが含まれる。 1937年から2005年までに35人の受賞者がいる。国別でみると英米とヨーロッパとロシアで9割だ。 そりゃー、機械工学なん…

経済活動と地球温暖化

今夏の暑さと豪雨は尋常ではないものであった。その大きな原因は地球温暖化だと気象庁とその関係者も公認する。 そして、それを食い止めようとする国際協力は、停滞しているようだ。 排出権取引や省エネルギ技術、再生可能エネルギー利用などの幾多の努力に…

東北の民謡に耳を澄ます

上見れば虫(むし)こ 中見れば綿(わだ)こ 下見れば雪(ゆぎ)こ 簡勁な歌詞だが染みいるような秋田の民謡だ。東北は民謡の宝庫とはよく言ったものだ。夏場に湧き上がる盆踊りの民謡はどれも味わいがある。 かの難解なるドダレバチを紹介しておく。津軽甚…

世界中のスマホの発熱量

ナショジオの記事『消費電力が意外に大きい家電製品とは』の伝えるところによれば、 iPhoneの消費電力(バッテリー充電、データ利用、ワイヤレス接続など)は、一般的なサイズの冷蔵庫を上回る 情報依存性が高まる一方の現代社会を象徴してはいる。 そこで問…

砂糖は太る原因

数年前、アメリカのドキュメンタリー『世界を動かす砂糖産業』を観た。当時から、砂糖が肥満の原因ともくされていたが、砂糖産業はそれを大量の宣伝広告費などで潰しにかかった。 別に裏金が動いたとは言わないが、真っ先に思い浮かぶのが大手の科学シリーズ…

宇宙家族ロビンソン

レトロなホームSF『宇宙家族ロビンソン』(Lost in space)という文化人類学的な検討に値するTVシリーズがあった。 アメリカの核家族の生活をそのまんま宇宙旅行に持ち込んだだけのお話だ。忠犬の代わりにロボットの「フライデー」がいる。ドクタースミスと…

超心理学は自然科学から仲間はずれになる最尤仮説

超心理学は19世紀後半のイギリスの「心霊協会」、通称サイキカル・リサーチに端を発する。 設立当初はイギリスの錚々たる顔ぶれがメンバーとなった。ヘンリー・シジウィック、ウィリアム・クルックス卿、グラッドストーン、ラスキン、A.R.ウォーレスやアメ…