サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2022-01-01から1年間の記事一覧

チャットGPTのアインシュタインとベルの定理についての見解

「アインシュタインの量子力学のベルの定理についての意見はどうようなものか?」 ChatGPT says: アインシュタインは、量子力学の発展に大きく貢献しました。彼は、量子力学の理論の中でも重要な役割を果たした、ベルの定理を提唱しました。 ベルの定理は、…

CRISPRと長寿化

遺伝子編集の精緻化と簡易化を実現したCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)は2020年にノーベル化学賞の対象となった。 1塩基単位でDNAを編集できるというのが触れ込み。詳細は他の記事をあたられたい。 www.cosmobio.co.jp そのネーミングセンスの良さ…

ラッセルの七面鳥のたとえは「人類の繁栄」にどこまであてはまるのか

バートランド・ラッセルは絶妙なたとえで哲学上の問題を示してくれるのだけれど、帰納法の問題についても「七面鳥のたとえ」が有名だ。 少々長いけれども、チャルマーズの本から孫引きしよう。 七面鳥は、飼育場での最初の朝、九時に飼を与えられたというこ…

史上最高な科学者の代表は誰か。本のタイトル数で決める。

表題の問いについては、おおよその見当はついている。 アインシュタインか、ダーウィンかだ。 いくら偉大であってもピタゴラスやアルキメデス、ニュートンやガリレオではないだろう。いくら天才でもガウスやヒルベルトは登場することはないだろう。 古今東西…

腎臓の糸球体における足細胞

1922年森鷗外は腎機能障害で亡くなった。享年60歳。病名は腎萎縮。軍医だったプライドもあってか自己診断して、もう治療するなとして泰然自若として死を迎えた。 腎臓の主機能を果たす糸球体は脳細胞と同じく、再生不能であり、徐々に壊れていく。 60歳を…

いわゆるホモサピエンス君たちの能力減退の証拠集め

同じ種族であったネアンデルタール人との生存競争で生き残ったのがホモサピエンスの諸氏なのだが、これが最後の同種併存だった。つい一万年前ごろまでは生存していた。 ここでは脳の容量がネアンデルタール人の方がやや上であったことを指摘しておきたい。彼…

グローバル技術史の貧困とその症状

ホモサピエンス全史とか、出口治明の歴史やマクニールの業績とか、世界史眺望ものは豊穣の季節を迎えている。 それに引き換え、気の毒としか言えないのが、科学技術史関係の参考書の不毛であろう。おそらくは山本義隆一人が気を吐いている。それも物理学史に…

あるデモクリトスのことば

「慣習的な言い方によれば、色があり、甘さがあり、にがさがある。しかし真実には原子と空虚があるのみ……」(斎藤忍随訳) 「あわれな心よ、おまえは我々から確信を得ておきながら、その我々(諸感覚)を打ち倒すのかね。我々の打倒はお前の転倒なのだ」(内…

寺田寅彦もダーシー・トムソンを「いいね!」していた

類は友を呼ぶの好例。寺田寅彦もダーシー・トムソンを「いいね!」していた。 www.aozora.gr.jp ただ生物界の現象を説明するに力学を応用するようになった率先者の一人としてここに御紹介するその学者の名はダルシー・ウェントウォース・トムソンという。こ…

マッチメイキングとガン発生あるいはノーベル経済学賞とノーベル医学生理学賞の相克

アルビン・ロスはゲーム理論の応用で2012年ノーベル経済学賞を受けた。その代表的で社会貢献的な業績はマッチメイキングのアルゴリズムで腎臓移植を促進させたことだ。 ja.wikipedia.org 臓器提供者(ドナー)と患者の間での腎臓移植をスムーズに行うには、…

火球の頻度増加の件

このところ2週間に一度くらいで火球のニュースが流れる。それも国内での目撃なのだ。その軌跡情報から落下場所を推測して隕石のかけらを民家の屋根から発見なんてこともあった。おそらくは他国でも同様であろう。 その増加の主要因は、スマホや定点監視カメ…

宇宙旅行は人類が主役である、本当に?

サミュエル・バトラーは「ニワトリは卵が進化するための手段である」とダーウィンの進化論を皮肉った。バトラーの発想はユニークだし、そうした観点の逆転はしばしば科学の進歩にもつながっているという前提で、以下の議論を味わっていただきたい。 ウイルス…

三種類の日本人の統計学史の相互不可侵

三種類の統計学史というのは、北川敏男と竹内啓、それに宮川公男のものであります。 それぞれに扱う対象は微妙に異なります。 北川敏男のものは欧米を中心とした統計学の発展を主としているし、竹内啓はもう少し幅が広く、統計の対象となる社会的な集計行為…

ヴォイニッチ手稿の正体みたりアール・ブリュット

先日、ケネディ&チャーチルの『ヴォイニッチ写本の謎』を読み直した。 著者たちは普通の作家たち(それにしても凄い組み合せの名前)だ。BBCの特別番組の書籍化したものなので特別な偏向はない。つまり、この謎の手稿に対して、古代の叡智だの、秘密結社の…

エネルギー資源の覇権戦争としてのウクライナ戦争

ロシアのウクライナ侵攻の背景にはプーチン政権のエネルギー覇権をめぐる戦略があった。 プーチンの権力維持の軸は、エネルギー資源のシェア拡大と暴力的な威圧による脅威の除去だった。これらを効果的に組み合わせて専制体制を維持してきた。 西側の経済制…

あらゆる機械は天体運動を模した機械の末裔

コンピュータや旋盤、車両などの機械は、振動もしくは回転がその心臓部である。 たとえば、デジタル化した機械は必ずクロックを刻みつつ作動する。 これにはなんの不思議もない。 機械の重要な中継点は歯車式時計であろう。その脱進機こそは時の刻みだった。…

普遍論争と夫婦喧嘩の火だね

「あなたは私のことを分かってくれない」と夫婦喧嘩で女性から指摘される男性は多いことであろう。 そうでなくとも、「おまえは俺を理解していない」と詰め寄る友人との仲たがいや「クライアントの都合を把握していないで企画をつくるな」というビジネス・バ…

なぜ、大型物流センターで火災が多いのか?

本日、2022年8月14日に茨城県守山市で大型物流センターが火災となった。それをきっかけにツラツラと推測をまとめてみた。 個人的に気になるのだが、最新の防火設備を備えているはずの物流センターが延焼する事件は年に一回は起きているように思える。 2017…

コロナ(covid-19)とスペイン風邪の比較

マルクスは『歴史は繰り返す。最初は悲劇だが、二番目はバロディとして』といった。これはフランス史でのナポレオン三世の台頭についての政治的発言だ。 日本の漫画『ルパン三世』については至言であろうが、今次のコロナについて当たっているわけでもないだ…

脳への思考モード多元化の導入について(スペキュレーティブ・ファビュレーション)

見回せば、いたるところ青山ならぬ、多種多様で高品質なコンテンツありのデジタルワールドに我らは暮らしている。 かつてクリストファー・プリーストの『限りない夏』なる好短編は青春のピーク体験を永遠化するテーマを扱っていた。時間をくりぬき、至福の瞬…

月都ハランへのボルヘス的探究

はじめに月都ハランに触れた記述はJ.D.バナールの『人間の拡張』の1972年版の翻訳であった。もとは「賢者」バナールの物理学史講義だ。 そこにはこう記されている。 ここでいいたいのは、タレスは少なくとも過去200年にさかのぼる非常に長期間に日食表にもと…

アメリカ中西部穀倉地帯 怒りの葡萄の21世紀的行方

ジョン・スタインベックの名作『怒りの葡萄』でオーキーと呼ばれる農業からあぶれた失業者たちが職を求めてさまよう。そんな時代に起きた大平原地帯の干ばつと不毛化という危機はどう回避されたか、その問いは、自分的にはしばらく答えのないままであった。 …

偉大な数学者に丸禿げはいない

何ゆえか、数学者には禿げを見かけることは少ない。偉大な数学者にはいない。 それを偉大な数学者の画像で確認しよう。 やはり信頼できる肖像画や写真が残る近代以降に限られる。 天才の世紀ともいわれた17世紀、デカルトとパスカルから始めよう。 デカルト…

精神疾患、とくにうつ病に関する企投的仮説

精神疾患のような原因が特定困難な病は社会の好ましからざる変化や要因が影響している可能性が高い。 とくに世界的に増加傾向にあるうつ病。この原因はいまだに特定できていない。 そもそも、一つの病であるとすることもなかなかに難しいようだ。 腫瘍マーカ…

ハイデッガーの『技術とは何か』を読む。あるいは細胞内の海

根源語の魔術師ハイデッガー「技術とは何か」を読んだ覚書が以下となります。 技術ではなく、技術の本質をつかむこと。両者は異なると哲学者は初めに断りを入れる。まずは、古代ギリシアの4原因説のおさらい。 質量因 どのような素材からつくられているか …

「無と空」についての寄せ書き

存在論について早くから緻密な思考をめぐらしていた古代インド人は無をカテゴリ論の一部として扱う。それを行ったのは後代のヴァイシェーシカ学派だという。無を非存在と同義として、この学派は無を4種にわけた。 未生無、乙滅無、畢竟無、交互無 未生無は…

脳百態のうちの十 -脳狂言-

痴性体の知能の様態の奇態な様々を類推し推測する。 1.脳のなかに脳があって、その中に脳があって、それが繰り返す(ロイス型) 2.空洞の脳室。そこでの音響共鳴が外部刺激に対しての応答を決める(空洞型) 3.多数の寄生体の寄り合いが神経系に組み込…

日本人生物学者たちの考えた人類の遺伝的未来

ここでの日本人生物学者たちとは木村資生と渡辺格である。 木村資生から始めよう。彼の分子進化の中立説はノーベル賞級の発想と発見であった。その業績の先進性は高く評価されるべきだろう。 もう一人、分子生物学の渡辺格である。ウイルスの遺伝特性を解明…

UFOの運動技術に対するSFプロトタイピング

最近になってアメリカで話題となっているUS空軍のUFOドキュメントに刺激されて、この未知の物体の運動性能を可能にする未知のテクノロジーについて、流行りのSFプロトタイピングを試みよう。 UFOが光学的な錯覚ではなく、実体があるというのが前提である。そ…

連星(binary star)がなければ始まらない

宇宙において連星はかなり普通の状態らしい。注意点はいずれも恒星でなければ連星と呼べないこと。ガミラスとイスカンダルは連星ではない。 あの北極星は3重星で、リゲルやレグルスは二重星なのだそうだ。夜空の約半数の星は連星なのだそうである。 中国SFで…