サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

2015-01-01から1年間の記事一覧

宇宙兄弟というのがあるが数理兄弟はいるか

『宇宙兄弟』は兄弟二人が宇宙飛行士になる。よく出来た話しだ。それでは歴史に名を残すほどの数学兄弟はいたであろうか? ベルヌーイ一族というのは有名な数理系学者家系だが、兄弟そろってというほどのことはなさ気だ。ヤコブ・ベルヌーイ、ダニエル、ヨハ…

ヒトの低体温化と地球温暖化

体温が子どもを中心に低下傾向である。日本人の体温は35度程度になってきたという。 異常に下がるのはHypothermia ハイポサーミアというれっきとした病気になるが、そこまで行かずとも長期的に体温が低下するのは先進国共通のようだ。 熱力学的にいうと外気…

江戸時代の鎖国の持続可能性

江戸時代の鎖国は文明国が比較的クローズドな環境で行った貴重な実験例だった。世界でも有数の恵まれた海からの海藻や魚などの水揚げがありはしたが、江戸期の日本人は国土で収穫した食糧を国内で消費することで300年間も列島に閉じこもりを続けた。おお…

グレートソルト湖の色違いの理由

北アメリカのソルトレイクに隣接する巨大な鹹湖「グレートソルト湖」が北側と南側で色が違うのはなぜか?それはスペースシャトルなど宇宙からでも観測できる。 いつもそれが気になってはいた。 その疑問はwikiとGoogleMapである程度解消する。このサイトでも…

主要国の国力の可視化例

G8であるCanada, France, Germany, Italy, Japan , Russia, United Kingdom, United Statesにインド、中国、韓国を加えたグループを主要国としておき、その国力を可視化してみよう。 その前提はこれら11ヶ国の陸地面積(Area)とGDPを採用する。そのうえで…

日本列島に至る海底火山

日本は火山大国であるのは御嶽山噴火で再認識させられたけれど、西之島新島のような海底火山でも「世界一流」の火山の所有国であることを確認しておこう。 世界で海底火山は、あるいは海底火山と認識されている場所は93個ほどある。 しかもご覧のとおり太…

日本最短の川 ぶつぶつ川

日本最短の川に興味を示す人は少ないだろうけど、記憶するためにメモります。 和歌山県の那智勝浦町を流れる「ぶつぶつ川」は全長13.5mで、二級河川として認定されている。国交省のお墨付きの最短の河川だ。 太平洋に面した玉の浦にそそぐ、「コハクガ…

暗黙知の含意すること

カール・ポランニーの「暗黙知」は心理学的な事実にもとづいている。1950年までの潜在意識に関する心理学の成果が用いられているのだ。 暗黙知の基本は「我々は語ることができるより多くのことを知ることができる」と著者自ら述べている。知識というのは言語…

木星の衛星の発見順序

木星の衛星は63個もある。 ガリレオがはじめの一歩を踏み出して4つの衛星を見つけたのが17世紀だ。 “Medicea Sidera”(メディチ家の星々)なる名称としたが、それは残っていない。イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストが現在の名称だ。 以下に、名前、発…

太陽表面のハイレゾ動画

NASAがYoutubeで公開している『Thermonuclear Art – The Sun In Ultra-HD (4K) 』は30分ものの動画だが、高画質の映像で飽きることがない。オツなサウンドも臨場感を盛り上げて、凡庸なSF映画以上の驚異の感覚が味わえる。 「お日さま」と親しみをこめて我ら…

Diracの読んだドストエフスキー

量子力学の創設者の一人Diracは変わりものでもあった。人間味のないファインマンと言われていた(ホントはその逆で人間味のあるDiracとファインマンが呼ばれている) 彼はめったに小説を読むことがなかったが、ある時『罪と罰』を読んだ感想を聞かれた。 「…

中国SFがヒューゴ賞受賞

SFファンやSF関係者の間ではすでに過去のニュースとなったが、中国本土で書かれた長編SFが2015年のヒューゴ賞受賞作(長編部門)に選ばれた。 ハインラインやクラーク、アシモフが受賞していることを考えるとまさに快挙といえる。 劉慈欣というシステムエン…

ドデカスケールの時代はいつ?

現在のところ、ITや情報通信関係で使う大きさの単位は「テラ(T)」である。ハードディスクはテラバイトの容量のものが入手できるし、それを内蔵したパソコンも多い。 つい先日まではギガ(G)10^9台のディスク容量であった。いまだにメモリーはGクラスだけれ…

脱毛産業と植毛産業の存在理由

ムダ毛を抜いてすべすべお肌を実現するというサービス、それを脱毛産業と呼ぼう。これに敵対するわけではないけれど、ツルツル頭に毛髪を植え付けてフサフサにするサービスもある。これは植毛産業であろう。 身体の表現をめぐる資本主義的な競争のバトルフィ…

電子的な読書の短所

電子化されたテキストの利便性は現代のアジャイルなビジネス環境に最適なのはいうまでない。場所を取らない、再利用の容易さ、検索や共有など多くの理由があるし、それは首肯できるものだ。 その短所を一つ挙げるとするなら、忘却の速さだ。あえて極言すると…

牛殺し文明への異議申し立て

牛殺し文明への異議申し立てをしたいところだが、その主張と裏腹に自分はいまだビーフは時おり食する。いきなり主張の誠実性に疑問符がつけられるのは確かだろう。 しかしながら、自分を叱咤するつもりで「牛殺し」という動物虐待が現代的基準で許容できない…

ブディコ=セラーズ・モデルからの太陽電池の温暖化効果推論

過去の気候変動、とくに数値的によく解明されている最近数万年の気温変化には周期性が顕著である。 雪氷によるアルベド(反射率)が氷期と間氷期のサイクルを説明することができるとしたのが、ロシア人たち学説ブディコ-セラーズモデルだ。 両極の氷河が大き…

極値統計のメモ

ガンベルもしくはグンベルの極値統計についてメモる。鬼怒川氾濫があったことだし。 グンペル(Emil Julius Gumbel)はドイツのミュンヘン出身のユダヤ系ドイツ人。ナチにより亡命に追い込まれた。平和主義者だった。 極値統計は極値分布の当てはめを行うこ…

中国の原子炉の場所

安全管理不行き届きな国家である中華人民共和国の原子炉は41基もある。 英語表記であるがリストを示す。 "Changjiang-1", "Changjiang-2", "Fangchenggang-1", "Fangchenggang-2", "Fangjiashan-1", "Fangjiashan-2", "Fuqing-1", "Fuqing-2", "Fuqing-3",…

天津の爆発事故とエコシティ・プロジェクト

天津は世界で第5位の巨大な港湾都市だ。中国政府の鳴り物入りの巨大都市再開発プロジェクトが順調に動いていたはずの場所だ。 少なくとも天津市濱海区で起きた有毒性物質を含む巨大事故の当日までの話しだが。 「天津エコシティ」計画は世界も注目する省エ…

ネット社会が西洋ヌースフィアから生まれた理由

スマホに象徴されるネット社会が欧米のリーダーシップと先導により世界を被覆した理由の一つは、その文化史的な基盤がすべてヨーロッパの精神的遺産にあるからだというのは誰でもウスウスは知っていることだ。 それを西洋ヌースフィアといっておこう。 この…

世界のスマホの発熱量のフェルミ推定

スマホのCPUの出す熱量を推定してみよう。 CMOSのトランジタのコンデンサー容量Cからスタートする。 Cは5フェムトファラッド=5☓10^-15 Faradとしておく。加圧電圧V=5ボルト。 1ビットをCMOSトランジスタに蓄えるには、蓄えたエネルギーをグラウンドに…

6度目の種の絶滅

エリザベス・コルバートの『6度目の大絶滅』(NHK出版)を読んで感じたことを書き置く。 生物学の流れを「種」をどのように把握してその存続を評価したかで見直すことができる。 始まりはキュビエだ。彼の業績の再評価が重要である。通常の生物学の歴史、と…

青岩鍾乳洞の凡そのロケーション

山梨県の青岩鍾乳洞のだいたいの位置はここら辺りだろう。 巨大なムーンミルクがある秘境の地に眠る鍾乳洞。ムーンミルクとは特殊な結晶化をした石灰岩だ。 残念ながら、一般市民は立入禁止だそうだ。それに、おそらく素人ではたどり着けない。 東京都の最高…

科学技術発展の楽観論への疑問点

サイエンス好きでテクノロジーのヘビーユーザである自分が言うのも何だが、これまでのような科学技術発展が環境問題を解決して人類をますます繁栄させてくれるとする単純な楽観論には、大きな「?」をつけたい。 ここで「これまでのような科学技術発展」とは…

汗くささとマイクロバイオームの関係

毎日うだるような暑さが続く。少しの運動で汗をかく。汗は短時間で発酵臭を放ちだすことがある。そこで清潔好きな現代人はすぐ消臭だ、香水だ、汗をかいても臭わない下着とかスプレーとかに走る。 しかし、少々の汗の匂いはなんだというのだろう? サラリー…

歴史をエンジニアリングする

2050年までに現代文明は幾つかの試練を乗り越えると予想されている。 食糧、水、エネルギーの絶対量の不足だ。人口増大している新興国が欧米型の生活に乗り換えることで、この危機はほぼ確実に到来するだろう。膨大な人口を抱えるインドやブラジルなどがそれ…

コードウェイナー・スミスについてのささやかなメモ

コードウェイナー・スミス、実名ポール・マイロン・アンソニー・ラインバーガーは心理戦の専門家として第二次世界大戦の陸軍に雇われていた。 主に中国を主とする極東がその対象だった。 ジョン・ホプキンズ大学で政治学を修め、博士号を持つ。その拠点はボ…

蝉の抜け殻のアップのフォト

セミの抜け殻をよくよく眺むれば、なかなか無骨な顔つきをしている。美男美女のような容貌から受ける印象と大きなギャップがある。ヒトの美的感覚からは程遠い。醜悪ではないのだ、違いがありすぎる。 昆虫類は神々に愛されているといったのは生物学者のホー…

熱力学の法則はどうして大陸で生じたか

この科学史的、あるいはエセ科学史的疑問はイギリスで産業革命が起きたのに、その科学的な基礎法則である熱力学の法則はフランスとドイツでほぼ発見されたことに関する疑念をあえて、表現してみたまでのこと。 熱力学の法則を思い出してみよう。 第一法則 エ…