サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

輸送のエネルギー効率性比較の根拠

 日本のGDPの一割はヒトとモノの物流が占めている。
 ある意味、国の競争力の根幹を物流が担っていると言ってもよいであろう。そして、その運行システムの頑健性(事故災害への強さ)や迅速性(輸送速度と頻度)、正確さ(時間通りの運送)では、日本は国際的にも、それなりの境地に達している。
 そして、今後、エネルギーに対する効率性が、ますます重要になるとして、かねてからのブログで、国土の交通網を比較してきた。

  「交通網のスケーリングによる国家比較
  「主要国の鉄道力を比較する

 上記ブログでは「鉄道」こそが運輸の中核になるという前提で指標をこねあげて、
アメリカ合衆国、ドイツ、中国、韓国などと比較してみた。
 その前提を数値的に裏付けるのが、『国土交通白書』にある。それを下に示す。

輸送単位(人キロ)当りの運行エネルギー消費量を鉄道を基準に比較する。

鉄道 1
バス 1.5
乗用車 8.3(自家用乗用車8.0)
航空機 7.6

経産省のサイトより

 EV(電気自動車)は上記の運行エネルギー消費の比率を大きく改善することになろうけど、それでも1/4になる程度である。
 すなわち、理論値としては現行のバスに及ばない。

鉄道 1
EV  2.1

 
 よって、物流・運送の使い分けポリシーを国民が共有することが重要ではないかと思うのだ。
 乗用車と航空機は使い分けが肝心になる。乗用車やバスはラストワンマイルで、駅から目的地までを割り当て、航空機は遠距離、例えば500キロ以上の移動や離島などに限定するなどの使い分けポリシーが望ましいことになろう。


【参考書】一般向けでありながら、高い見地から業界を知ることができる

図解よくわかるこれからの物流―最新版 なるほど!これでわかった (DO BOOKS)

図解よくわかるこれからの物流―最新版 なるほど!これでわかった (DO BOOKS)