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洗浄便座の仏教的起源

 クール・ジャパンの代表選手でもある洗浄便座は、曹洞宗にその起源がある。というのが本日の論点。
 論拠は『正法眼蔵』の「洗浄」篇にある。「洗面」篇と対をなす、ある意味異質な修行論であもある。

 道元の引用する典拠は『大比丘三千威儀経』の「浄身者、洗大小便、剪十指爪」である。
また、『華厳経』浄行品の「左右便利、当願衆生、娟除穢汚」である。
 これらによって、身を清めることをかくも力説する。

佛祖の護持しきたれる修証あり、いはゆる不染汚なり。浄身者、洗大小便、剪十指爪、しかあれば、身心これ不染汚なれども、浄身の法あり、浄心の法あり。ただ身心をきよむるのみにあらず、国土樹下をもきよむるなり。きよむるは諸佛の所護念なり。作法これ宗旨なり、得道これ作法なり。

 なかでも洗浄便座の源泉というべき道元の主張は「洗大小便おこたらしむることなかれ。舎利佛、この法をもて外道を降伏せしむることありき」である。

 野にあっても屋にあっても洗大小便の心得を忘るることなかれと、道元禅師は事細かに用便の作法を指示しているのだ。

 いうまでもなく『正法眼蔵』は道元禅師の主著である。曹洞宗聖典である。その聖なる書において用便の作法を厳密に定式化しているのだ。これは後世の日本人の生活様式に影響せぬわけがない。
 日本人は洗浄便座において宗教的な論拠をもつのである。こんな民族、どこにおるだろうか?

 【参考資料】

正法眼蔵(一)全訳注 (講談社学術文庫)

正法眼蔵(一)全訳注 (講談社学術文庫)