サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

異星文明の外部からの刺激が必要だ

 往還はもちろんほとんど出来ず、通信にも大きな制約があり記号のやり取りが
やっとこさという何千光年以上離れている異星文明が発見されたとしよう。

この通信の隔絶が大きな支障になるのは明らかだ。「はじめまして」とやり取りできた時には地球の国家や文明が滅んでしまって、別な国家や文明となっているかもしれない。
 相手が優れた文明であればこんな短命な奴らとは口もききたくないと思うだろう。
距離が離れすぎなため通信容量や信頼性が低いので、「画像」の送受信には制約があるだろう。「記号」のやりとりだけだろう。最初は数学的な概念の確認になるだろうと大方は予想している。
 すると「チューリングテスト」的状況が発生しはしまいか? *1
 異星文明に本当に「知性」があるのかどうかを問答から推し量るのである。ひょっとすると機械知性の文明かもしれない。チューリングテストは落第となるのが...
 これは楽観にすぎるであろう。持論であるが、数学が普遍的である証拠は何も無い。
カントは数学の普遍性を「先験的総合判断」なるヒトの能力に求めた。これも怪しい。彼が信じた幾何学の普遍性は崩れたからだ。けれどもカントに譲歩しても、異星人との相互理解はちっとも進まないのは明らかである。先方が「先験的総合判断」を持ち合わせている可能性が低いからだ。
 つまりはチューリングテストなんか、出来そうにないことになる。マーチン・ガードナーの「オズマ問題」(相手に左右を教える)などもお手上げだ。

 それはここでの本題ではない。異星の知性の存在は現代文明の精神的基盤をどのように揺るがすことになるのかを勝手に簡単に考えてみたい。
 宗教は大きく揺さ振られる。ユダヤ、キリスト、イスラムの聖書の民は、地球に限定されない「創造神」と「最後の審判」を再考・再構成しなければならない。
他世界の存在は仏教では教説に含まれていた。異星文明があっても問題はない。
けれど、輪廻転生はどうなるのか? 異星文明をふくめて輪廻転生するというのは自己矛盾ではない。輪廻転生により途轍もない距離の宇宙旅行ができることになる。

 チョムスキー生成文法は先天的に文法規則が脳に組み込まれているとしている。
それは有り難い! 異星人も同じような文法構造をもっているってことなのだ。
であれば、会話はなんとか出来るかもしれない。 
 でも、本当か? カントの「先験的総合判断」と同じ境遇にありはしまいか?

 ユング集合的無意識もこの件とかかわりが深い。時空を超えたこの「集合的無意識」は異星人のシンボルを含んでいるいるだろう。
 それはありなのか?
人類の黄金のスカラベの象徴性は、あっちにも黄金のスカラベであり、スカラベ=糞転がしなのだろうか。
 それがあるならば、既に異星人の無意識と連帯しているはずだ。ならば、異星人と気脈を通じるのは困難ではないかもしれない。

 DNAに相当する遺伝情報の担う「媒体」は異星人ももっていることであろう。
はるかに進んだ文明であるならば、DNAから独立して個体を生成しているかもしれない。あるいは社会性昆虫の蟻のように同じDNAの群体生命なのかもしれない。
なんにせよ、その有様は貧弱な想像を凌駕しているであろう。
 人食いを倫理的に軽蔑するように、同じDNAの生物を食う地球文明は忌避されるべき
ものとされていないかが、差当り気にしておこう。
 スタニスラス・レムが屍肉食いと人類をからかったようにだ。

 生物が地球と異なる環境で生息進化することがかなり確実なので、上記な問は馬鹿げてはいまい。

 いろいろな懸念事項はあるけれど、天祐を期待したいので、こんな性懲りもないことを書いているのであります。
 どのような天祐か。
 仮に我らよりはるかに進んだ技術文明があり、お互いに理解しあえ、助言や支援を乞えるのであれば(この条件自体が途方もなく有り得ないのだけど)、是非ともそうできればと願いますねえ。資源・エネルギーの問題や、国家間・宗教観の対立解消、いかにすれば真に持続可能で満ち足りた社会が可能なのかを指導願いたい。
なんか現代文明はデッドエンドになりかかっていて、身動き取れないようなので。
 天祐であり、なおかつ、僥倖としか言えないけど。

*1:もっと相応しいのはサールの中国の部屋か