サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

菱沼勇氏について

 菱沼勇(ひしぬまいさむ)氏は郷土史家のあいだでは名が知られているのでありましょうか。
 明治生まれで大正12年東京帝国大学法学部を卒業。商工省の役人をした後、余暇に南関東の古社を調査し、貴重な参考書をわれらに残してくれました。もはや故人なっておられるでしょう。

 それらの書籍は図書館の郷土史コーナーに常備されています。

日本の自然神
相摸の古社
武蔵の古社
房総の古社
武蔵国式內社の歴史地理

 いずれも新宿の有峰書店新社から出版されている。今は練馬にあるようだ。
 この『武蔵の古社』にはいつもお世話になること頻りであります。

 彼の本業の産物はこちら。どんな業務を戦時期にこなしていたかが想像される。

戰時經濟と貿易國策
日本貿易の過去現在及将来
液体燃料の緊急確保對策に關する對談

 昭和十九年の帝国議会議事録で石炭配給に関する彼の答弁がある。
http://teikokugikai-i.ndl.go.jp/SENTAKU/kizokuin/084/2910/main.html

 そうした緊迫の時局から晩年の閑暇をえて、成し遂げた貴重な調査業績に感謝であります。


 菱沼氏の旧宅はこちらであった。武蔵と相模の古社めぐりの基地であったのだ。



やはり菱沼氏の代表作はこの書になるであろう。

武蔵の古社 (1972年) (歴史と風土〈7〉)

武蔵の古社 (1972年) (歴史と風土〈7〉)