サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

保守主義の疑似ニューロサイエンス

 若い頃は自由主義的であっても、大多数の人たちは年取ってくると保守的傾向が出てくる。生活のパターンが固定化するのに並行的な現象だろう。
 自分のライフスタイルを変えるのが難しくなるのだ。これは若い頃には西洋カルチャーに憧れるが、老いてくると日本回帰するようなケースも当てはまる。

 神経科学的に解釈すると、日々使うニューロンや神経回路網が固定化するのに対応するようなことなのだろう。そうすると「変化」が自分に敵対するように思えてくるのだ。それが時代の変化であってもだ。
 それが既得権益とも関係しているのは興味深い。資本主義社会では、歳とともに財や権利の所有を蓄積するのが通例だ。その権益に固着するのがとても人間的で動物の縄張り制(先にマーキングしたものが自分の所有物としての空間専有になる)と似ている。
 保守政党である自民党には二世政治家が多いのも、この固着性の一例であろう。

 それは過去の制度やシガラミに結びついた既得権益である。頭脳の中で「縄張り」が形成される。世の中の新しい動きはその縄張りに対する侵犯と固定化された神経回路網により判定されることが多かろう。
 つまりは、保守化あるいは反動とは神経細胞の「学習」の結果としての新しい学習の拒絶と考えることができるのではないだろうか?