サイエンスとサピエンス

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EVは未来車なのか

 エネルギー効率や脱炭素化に向けて、電気自動車EVへの期待は大きい。
それにしても超えるべき幾つかの問題があることは否めない。
 価格が高く、持続距離が100キロをようやく超えるくらいで、充電に数十分以上かかることや、電気供給ステーションが少ない、加速性能がイマイチなど消費者としての不満を別として、それ以上にエネルギー効率が本当に高いのかどうかが問題だ。
 電気自動車の電装をみてみよう。
 直流電流の電圧を変換するDCDCコンバーターはエネルギーを消耗する。交流を直流に直すのも同様だ。DCDCはどのEVにも必ず搭載されている。パワーエレクトロニクスの素子は各種の変換で電流を熱に変えてしまう。
 その技術は発展途上なのだ。
 弱点をもう一つ追加しておこう。EVは複数のバッテリーを搭載している。そこに登場するセルバランサーなるものは、複数のバッテリーで最低電圧のセルにあわせて、わざわざ電圧降下させる皮肉な機能が必須なのだ。セルとは電池ユニットのことだ。
 言うまでもないが、当然、バッテリーは放置しておくと自然放電してエネルギーを喪失する。しかも、バッテリーの温度は適正に保たねばならない。つまり、夏場などにはバッテリー冷却のための空調が必要となる。夏場の酷暑で駐車中のクルマのバッテリー劣化もありうるわけだ。
 また、フル充電したバッテリーは劣化する。つまり寿命が短くなる。リチウムイオンバッテリーでさえもだ。
 これだけのエネルギーロスが見込まれるのだ。せっかく送電線からEVに充電しても、どのくらいが走行以外にロスされるか実態はわからない。
 それでもガソリン車より、いいのかもしれない。その場限りでは温暖化ガスは出ない。だがいったい、どこから電力を持ってくるのかが問われるべきだ。
原子力を見捨てようとしている国民にとって電力の元は再生可能エネルギーだろう。
 心配なのは自然再生エネルギーの未熟さだ。どこかの人々の主張のように原子力を使わないということは、そのまま火力で大半の発電を行うことになる。つまりは、EV自体は排ガスなく脱炭素といっても、大本で二酸化炭素出しまくりなのだ。なんにもならないのではないか?