インフルエンザ・ウイルスの対人類包囲戦略

　鳥インフルが猖獗の気配をたぎらせている。
　おさらいしておこう。鳥インフルは鳥の中で変異することは数十年前から知られていた。かつては鴨のなかで突然変異すると言われていた記憶がある。鳥はベクターとしてウィルスの伝播者に選ばれた。鳥自身では発病せずにウィルスと共存するのだ。

　鳥をターゲットにするウィルスの戦略の的確なことは言うまでもない。渡り鳥で地理的な限界をたやすく横超するし、家禽に感染させることで、人知れず密やかに人類に忍び寄るのにまたとない機会を提供する。
　おまけに渡り鳥はラムサール条約で保護されているのだ。
　まずはPM2.5と黄砂で人類の免疫力を痛めつけてから、鶏や豚などに忍び込み、体力のない衛生状態の良くないヒトに襲いかかる。ヒトヒト感染が起きれば人口密度の高い国での感染爆発は容易だ。大陸での感染拡大の仕掛けは万全だ。

　とどめを刺すのが、鳥もそうだし、エアラインでのヒトの移動もそうだが、空からの飛来は防ぎようがないことだ。
　人獣感染が認知されてこの方、科学的防疫戦では後手後手に回る人類なのだ。中国本土で大騒ぎしている合間にも、隣国にその触手は伸びているであろう。