サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

情報通信社会の進展ベクターに関するメモ

 スマホタブレットクラウドに代表される情報通信社会の発展は瞠目すべきことだ。それに追従するかたちで、センサーが浸透してきている。
 家庭内では火災報知機や防犯カメラ、社会では監視カメラやICタグ、高速道路のETCもセンサーだし、電子マネーパスモ、スイカWAONなど)のICタグもセンサーと見なせる。もちろん、GPSもそうだ。バーコードも素朴なセンサーと言えるだろう。
 情報通信の進化の方向を占う時に、人のすることを機械に代行させる、あるいはマンパワーの削減をそのドライビング・フォースと仮定するならば、情報通信社会の次なる方向はアクチュエータやマニピュレータ、それにロコモーティブであるとするのは妥当であろう。
 自動制御機械とは、センサーと計算部とアクチュエータから構成されるのだから。

 実際に、自動開閉ドアやエレベータはその実現されたプロトタイプということになろう。これらは、後に示す2)植物型自動機械に分類できるだろう。だが、ここでの論点は産業用の自動機械ではなく、次世代の社会化された自動制御機械だ。
 進化の方向は、単純化していえば、情報通信のアクチュエータへの結合の爆発(グールド=エルドリッジ型の爆発とでもいうか)と日常空間への進出になろう。
 その具体例は「ロボット」なのだが、現在のロボットのコンセプトは自分自身の計算部で自律的制御を行うとしている、だが、今後の「ロボット」は情報通信で外部の計算センター(クラウドスマホ)にて結合されていることが相違だ。
 独立独歩のアクチュエータではなく「社会」にワイヤーロックされた自動機械が闊歩するだろうというのが、進化の方向だと予想される。

 今後、生活空間に進出する情報通信+アクチュエータ=次世代自動制御機械はすべて社会基盤においてその行動を機制されると思うのだ。
 21世紀の未来社会はメガマシン(ルイス・マンフォードの言葉)となる方向に進化する。街頭に繰り出す「ロボット」はいわばすべて自分の行動が、タグづけされ監視されることになろう。
グーグル・カーを例として提出しておこう。ただし、グーグルカーは決して路上を我が物顔に走る時代はこないであろうことも指摘する。
 当面の間、そうした社会化した自動制御機械は用途が限られる。認知科学で言うフレーミングに失敗するからだ。機械は、どのような動作状況に対応できることはありえない。
 それを簡易的に論証しておこう。
 基本的なロボティクスを一瞥してみよう。
 こんな手順で動作を遂行することになる。

 動作機構について、次項を順次行う。
1)運動方程式を立てることから開始する。動力学と静力学についての解析が必要になる(建築は静力学だけで十分なのに対して、機械は姿勢制御しつつリアルタイムに計算するのだ)。
2)その上で目標遂行行動の動力学的なパラメータ推定を行う。時間最短かエネルギー最短かでの最適性が考慮されようが、ここで三次元空間のリンク機構を解析しなければならず、その式は非線形多元微分方程式になる。
3)位置と運動制御の実行となる。軌道を予め決定しサーボモータ制御の動力学指示を行いつつ動作部分の位置監視をする。


 つまり、一連の動作を遂行するためには多元方程式を予め解いておくことになり、その前提となるエネルギーやモータやリンク機構、重心条件などを満たしていないと「軌道」が計算できない。ましてや外部条件は無際限に変化する。温度、湿度、振動、路面の状態や風速。それに他の社会オブジェクト(人間や動物等々動きと形状)のことが無視されているのだ
 日常空間というのがどれほど曲者かという事実はいくら強調してもしたりない。

 技術的には、計算能力がすぐにパンクすることは一目瞭然であろう。独立した計算能力ではやっていけない理由がここにある。つまりは最初のハナシに戻る。
 今後の「ロボット」は情報通信で外部の計算センター(クラウドスマホ)にて結合されているのだ。 

 これが制約になり、この数年間で生まれ出る社会化した自動制御機械は、下記に限定されよう。
1)軍事用マシン 災害時支援マシンもここに含まれる
2)植物型マシン 据え置き型もしくは動作がモッサリした機械
3)単機能マシン(農耕や採掘など)

Roboactor(ロボアクター) (二足歩行ロボットラジコン)

Roboactor(ロボアクター) (二足歩行ロボットラジコン)

ロボット創造学入門 (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ)

ロボット創造学入門 (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ)

はじめてのロボット創造設計 (KS理工学専門書)

はじめてのロボット創造設計 (KS理工学専門書)