『サステイナビリティ学への挑戦』(2007年)を前にして、こう言っておこう。
「お手並み拝見の時期は過ぎた」
その内容や方針については良識あるものは誰も異を唱えることはあるまい。いかんせん、その教育システムで地球温暖化を阻止するのに顕著な事績があるだろうか?
もう、6年も経過したのだ。
所詮、一流大学連合による予算取りの組織とそしられるだけではなかろうか?
現在もそうそうたるメンバーを取り込んで「東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)」はある。その存在感は揺るぐことなく2013年の猛暑と豪雨のあとでも持続している。
でも、その人類への貢献は、日本への貢献は見える化されていない。教育と研究が主なので、それは間接的なのかもしれないのではあるが。
かつて、アラル海が消失するという警告は多くの学者や研究者たちにより耳に胼胝ができるほど周辺住民は聞かされた。警告自体は正しかったが、アラル海が地図から消え去ることを回避させるのにはなんら効果がなかった。
別にこうした個別の温暖化防止研究や持続社会構築への努力をあげつらう気持ちはない。
しかし、どれも迂遠でならないという焦りは停められない。
そもそも科学技術はこのような巨視的で汎地球的な事態には無力であるどころか、(恐ろしいので口にするのも憚られるが)事態を悪化する方向にしか使えないのかもしれないのだ。
もう一つ、人類史の暗闇からの教訓を追加しておこう。
科学技術という王の呪術的な君臨期限が終わるときに、フレーザーの王殺しが始まるかもしれない。
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