NASAがYoutubeで公開している『Thermonuclear Art – The Sun In Ultra-HD (4K) 』は30分ものの動画だが、高画質の映像で飽きることがない。オツなサウンドも臨場感を盛り上げて、凡庸なSF映画以上の驚異の感覚が味わえる。
「お日さま」と親しみをこめて我らは呼ぶけれども1億5千万キロ(一天文単位)もの遠距離にあるがゆえに、ほどほどの暖かさと光を享受できているのだ。NASAの映像が映し出すその真の姿は、バイオレントなパワーであり、焦熱地獄のような世界だ。
黒点の周囲から湧き上がるプロミネンスは紅蓮の炎のようだ。
X線でみたコロナ(花冠)は地上では皆既日食でしか観測できないものだが、この映像では禍々しいまでに美しい。黒点のわきで起きるフレアという爆発現象も微細な構造が手に取るようにわかる。
コロナから大量の太陽風が吹き荒れるCME(Coronal Mass Ejection)が映像のどれかにあればよかった。CMEは太陽と同じスケールの噴出だ。地球などヒトノミにする巨大な天文ショーである。まさに「熱核反応アート=Thermonuclear Art」だ。
怒れる恒星の真の姿を前にして人類は自らの卑小さを実感する。
NASAの映像。
拡大して高画質(HD)画面=全画面表示で鑑賞することをオススメする。
太陽表面の解説はこの簡易的な書籍によった。「日江井栄二郎」という著者名は体を表すだ。その道何十年という太陽学者だ。
太陽は23歳!? 皆既日食と太陽の科学 (岩波科学ライブラリー〈カラー版〉)
- 作者: 日江井榮二郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/07/07
- メディア: 単行本
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