新しい種はどこから生まれるのだろうか?
どうやらそれは最先端にある状態から分岐するのではなさげだ。
例えば、人類を継ぐスーパーヒューマンは、アラブの石油王のような成功した金持ちから生まれるのでもなければ、ノーベル賞受賞者である天才科学者やオリンピック金メダリストから生じてくるのはないだろう。
何を論拠にしているかというと「系統樹」というモデルだ。種の分岐をツリー状にみせるこの表示は種と種の距離を上手く表現している。
その背景になる仮設はヘニック(Emil Hans Willi Hennig)の原則である。
分岐型分類学の原則である。
ノード(分岐点)による(node-based)クレード: AとBの最新の共通祖先と、その子孫すべてからなる。
ステム(幹:ノードの根元にあるエッジ)による(stem-based / branch-based)クレード:AとBの最古の共通祖先の子孫すべてからなる。つまりZとの分岐点以降すべてからなり、Zのみの祖先を含まない。
派生形質による(apomorphy-based)クレード:AとBの共通祖先のうち、ある派生形質を持つ最新のものと、その子孫すべてからなる。
このように考えると新たに分かれ出る種というのは、より「祖型」に近い場、分岐の根本に位置する種の置き去り型であると言えるのだろう。環境に過剰適応したのが枝の「先端」にある「成功した金持ち、天才科学者、オリンピック金メダリスト」だ。
では、より根本にある祖型はどのような「人びと」を例とするのか?
自分的にはアフリカの厳しい環境で餓えすれすれの非衛生的環境を耐えしのぐ人びとである。あるいは人ではないが霊長類のボノボかもしれない。
アフリカは現世人類の出藍の地である。それ以前の猿人、旧人などもここから生まれている。アウストラロピテクスなどもそうだ。アフリカ諸国の現在の政治的経済的混乱というは、未来の新人類のゆりかごを提供しているのであろうか?!
現代文明という特殊環境に適応している人びとは過剰適応であり、袋小路にあると思えるのだ。
以上の派生的な推論として、人工知能脅威論=現世人類を引き継ぐ後継者はありねいことになるだろう。「人工知能」は脳化の延長にあるからだ。
ここでの結論というのは最先端というのはほとんど枝葉の先にあり、ほぼ確率1で消え失せる「暗闇での跳躍」である、という形而上学的な想像だ。
分類学の今を語る書籍を参考にした。
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