サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

三題噺(続)  『三体』とフェルミとUFO映像

  前回Blog『三体』とフェルミとUFO の末尾でペンタゴンの公開UFO映像で、見かけの加速度が400から500Gだという指摘があるとした。光学的な錯覚ではないとしよう。それが何らかの人工物で異星人が地球まで遥々、観測のために飛ばした先進的なテクノロジーの産物と想定してみる。

 ここで宇宙空間での加速性能が、この観測値(推定値?)程度だとしたら、どのような距離を超えて、やってきたかの推測ができるかもしれない。

 SF映画でおなじみのワープとか、超光速とかは考えないでおこう。既知の法則、相対論には従うとしておこう。

 加速度aとするとt秒後の速度は次式だ。c光速度とする。

       f:id:Hyperion64:20210531220653j:plain

まず、速度が光速の99%近くなるまでの所要時間を見積るとしよう。

 加速度は50G、100G、それに1000Gの三パターンとする。最初の二つは人類のテクノジーでの限界値。1000GはUFOの想定性能としている。

f:id:Hyperion64:20210531221242j:plain

 横軸は時間(hour)であります。縦軸は光速=1としている。

下の線から順番に50G、100G、それに1000Gとなる。50Gは弾道弾並みだが、600時間超えても光速の40%程度だ。

 1000Gでは50時間で95%、650時間で99.99%になる。あとは慣性航法で一直線に太陽系に向かえばいいのだ。

 

 移動距離を求める。加速度 aでT秒間運動した時の移動距離は下式だ・

        f:id:Hyperion64:20210531222706j:plain

 1000Gで1000時間、運動すると423AU(地球から太陽までの距離=AU)になる。カイパーベルトが55AUなので、太陽系の直径100AUの4倍弱の距離を移動してしまう勘定になる。1000時間=42日だ。

 そのあとは慣性で光速の99.99%で100年飛ばす。

        99.923ly (ly=光年)

ほぼ100光年になるわけだ。無機系のメカニズムなら耐えうるだろう。

 ハビタブルゾーンにある系外惑星は50光年程度のところに100程度はあるようだ。それらが高度なテクノロジーを持つならば数十年単位での「地球観測」衛星を送り届けることは不可能ではないだろう。1000Gで加速し壊れないで観測することができる無人機は人類の技術では困難かもしれない。エネルギー源、材料、長期間の自動運用、それに加減速性能や強靭性などどれ一つとっても難しい。

 しかし、不可能と判断するにはわれらの科学と技術蓄積は無力ではないか?

 

 

【参考資料】