サイエンスとサピエンス

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Diracと『罪と罰』の謎

Diracと『罪と罰』は最も縁がなさそうなテーマだ。しかしながら、伝えられることの少ない孤高の天才科学者の有名な逸話であります。

 人に勧められて読んだドストエフスキーの『罪と罰』への感想を聞かれた時の彼の回答が、一風変わったものであった。

「面白かったが一日に二回日が昇った日があった」と答えたそうだ。

 しかし、自分の知る限りその箇所を指定している人やWebを見たことがないのだ。

いったい、どこにそれがあるのだろう?

 

ちなみにLLMの一つであるGoogleのBARDではこうある。

ドストエフスキーの『罪と罰』のなかで一日に二回日の出がある箇所は、第六章の冒頭です。

この章では、ラスコーリニコフが、リザヴェータ・イヴァーノヴナを殺害した後、その遺体を埋めるために、セミョノフ橋の下にある空き地へ向かいます。

ラスコーリニコフは、夜通しセミョノフ橋の下で遺体を埋める作業を続けます。そして、夜が明けようとした頃、彼は、空に二つの太陽が昇るのを目撃します。

ラスコーリニコフは、この二つの太陽を、自分の罪の象徴として捉えます。彼は、自分の罪によって、世界が崩壊してしまったと感じているのです。

 原作ではラスコーリニコフは二人の老婆を殺害して殺人現場からそのまま逃走している。つまり、BARD君は嘘の供述をしているのだろうか?

この巧妙さには誰でも騙される!

大規模言語モデルというのは天才級の虚言癖の持ち主ではないか!

 

【参考文献】

逸話の原典はこちらである。Diracの人望のなさを反映して薄い本だこと。

 

 

【補足】

 ドストエフスキーの本を勧めたのはWignerである。彼の妹がDiracの奥さんとなる。

ところで、量子力学観測問題でWignerの友人というのがあるが、それは誰あろうDiracのことではないだろうか?