岩手県平泉が世界遺産登録の機運にあることは、ほんに嬉しいです。『奥州藤原氏のミイラ』にても触れてますが、古代や中世の大陸と日本の交渉は不明点が多いです。
ユーラシア大陸内のつながりですらミステリーな痕跡を残します。
ガラスの事例がいい例でしょう。正倉院のガラス容器は有名です。シルクロードを伝わってきたガラスが大切に保管されている稀有な宝庫です。古いものは天平勝宝四年(752年)にガラスが納入されていたようです。器の源流は西アジア方面です。
だが、何と言っても由水常雄の『ガラスの道』には素敵な仮説が述べられています。
新羅の文化交流はローマとダイレクトにあったかもしれないのです。しかも、今日までに新羅古墳からだけ、ローマンガラスが出土しているといいます。百済の古墳や加羅の古墳からは同様な物が出土していないのです。
高句麗経由での流入はありえそうです。高句麗の遺跡の発掘は遅れていそうですしね。中国本土には、河北雀景禁の封魔奴墓の鍵麟文碗があるそうですが、遊牧民族系の墓地であるらしい。
いずれにせよ、古代や中世の東西の交渉はかなり緊密であったのではないでしょうか。
これで、藤原氏ミイラのエジプト起源説はすこし真実味を帯びるかなあ。
- 作者: 由水常雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/04
- メディア: 文庫
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