渦は古代人の好みの文様であった。九州の装飾古墳、アイルランドの遺跡で渦はメインモチーフになる。
ケレーニイの神話学的論断によれば、渦は冥界のシンボルであり、地底における迷路であり、そして臓物でもある。なんとも意表をついた繋がりがあるものだ。
だが、渦をもって何らかの神秘的なパワーの源とするその思考は、藤原咲平を虜にしたし、ほぼ同時代のケルビン卿も渦動原子論、渦輪が原子の本体だとした。
こうした渦への思い入れは物理学者も古代人も共に同じ衝動に支配されているからこそ、生じるのだと思う。
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乱流と渦 ~日常に潜む不連続な”魔の流れ”~ (知りたい!サイエンス)
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トムスンの渦動原子論はこちらでダウンロード
J.J.Thomson『A TREATISE ON THE MOTION OF VORTEX RINGS』pdf