サイエンスとサピエンス

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アメリカ富豪学者の趣味の火星観測

 筒井康隆のベストセラーで「富豪刑事」という小説があったが、アメリカ人の富豪はとんでもない人物を相当、輩出している。パーシヴァル・ローウェルもその一人。
 明治期の日本にやってきて能登半島までノコノコ出かけたり、御嶽山でフィールドワークして『オカルト・ジャパン』という穏当ならざる題名の書物を出したりしている。御嶽教の観察記録だが、それほど学問的な価値はないようだ。

 それだけなら、高等遊民の道楽で尊敬もできよう。
 帰国後、彼は火星に興味を持つ。アリゾナの奥地に砂漠の片隅に当時ですら相当な口径の天体望遠鏡を据え付けた私設天文台を建築する。それがこのサイトのように立派に残存する。
 自ら観測を開始するのだから、堂に入っている。
その結果を世に問う。
「火星に運河あり」
恐れいったことに天文観測による運河の図面を発表した。つまり、火星には高度な文明があると主張したことになる。BEMはその騒ぎのなかで生まれたといえようし、「ジョン・カーター」=バローズの火星シリーズもなかったかもしれない。

 これはプロの天文学者も巻き込んで相当な論議を呼んだ。そのエコーはウェルズのSF『宇宙戦争』で読み取ることができるわけだ。

ローウェルのこれらの二冊の原著を提供しているサイトは下に添付した。


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【原著提供サイト】
『火星と運河』(原著英語版)
パーシヴァル・ローウェル『火星と運河』(原著英語版)pdf


『オカルト・ジャパン』(原著英語版)
ローウェル『オカルト・ジャパン』(原著英語版)pdf