話題性のあるリアルで絶妙なコミック『宇宙兄弟』を読みだしたところだ。兄弟の兄貴に感情移入をさせる出だしだ。弟はすでにNASAで日本人初の月面着陸ミッションに参加している。
とにかく性格描写が上等で逸話がハマっている。宇宙飛行士に憧れる人たちって、こんなロマンティストなんだと頷くようなストーリーである。
とくにJAXAの訓練は実話に近い感じがする。グリーンカードで閉所空間に隔離された少人数チームに負荷を与えるなんてのはありうるよね。しっかり筑波のJAXAは取材して背景を描き込んでいるしね。
なので、近年まれにみる良心派のマンガで、すごくお勧めではあるのだけど...。楽しい教訓的なストーリーであるがゆえに、有人宇宙開発に関する限界を改めて認知させてくれた。
現実問題として、日本が何百億円を負担して人一人を宇宙に送り出すというのは、もはやありえないと思うのだ。
地上に山積した問題を解決することが先決だ。エネルギー、食糧、水、防災どれもが有人宇宙技術とは無関係であり、それよりも優先度がたかいはずだ。
地表の悲嘆をそのままにして他の天体に日本人が到達するのは、そんなに名誉なのだろうか?
日本が注力すべきなのは、無人機やロボットによる宇宙開発であるはずだ。小型化と高品質・高信頼性は我が国の十八番だ。他国の宇宙開発に差別化と競争力があり、なによりその技術の果実は地上の問題解決にもつながる。
例えば、ウォークマンはエネルギーの無駄使いをなくす発想から生まれた。大型スピーカで音を響かせるより、ヘッドホンで聴くほうがロスが少ない。小型化と高品質を同時に達成して世界に貢献した。iPADやiPhoneはその延長上にある(レヴィの本を見よ)
一次産業は人類生存に絶対必要な産業だ。けれどもその効率は悪く、危険もしくは非人間的な作業が多くある。
海底の資源開発は有望な分野だ。日本はなにより優先させるべきだろう。そこでは無人機が活躍できるはずだ。
原子力発電には危険な作業が伴う。人に危険作業をさせるよりロボットにやらせてはいけないのか。
ロボットは農業を変える可能性があるかもしれない。トラクターやヘリでの大規模農法より、散水作業をスプリンクラーでやれば揮発量のほうが植物に吸収されるより多くなる。小型無人機なら狭い場所でエネルギー効率よく作業し収穫できるのではないか?
ヒト型ロボットの応用を介護分野にとどめておくべきではないはずだ。多分野での並行開発を進め、その結実を集約することで、なおいっそうの産業全体のロボット化を進めるのが、高齢化がすすむ日本の選択肢になるはずだ。
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アップルの製品の原点からiPhoneの成功を捉えるには最適だ
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