サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

エージェントシミュレーションの使い道

 ちょっと前までエージェントシミュレーションなんて社会的にまったく使い道がなさそうだと諦めていた。マーケティングで消費者の行動を模倣しようなんて、誰も金を払ってまで実施しようなんて思わない。とてつもなく選択肢があって、人によって差異があって、商品の種類も価格も景気も懐具合や体調や天候までも関わってくるのに、どうしてそんなシミュレーション結果を信じられる? 誰も信じやしない。だが、必死な状況下ではヒトも機械的に振舞うようだ。例えば、避難時の行動なんてそう好例だ。だとしれば、「ガン難民」をどう減らすかのエージェントシミュレーションは十分ありえるのではないだろうか。ファクターは限定されている。健康保険制度、病院・医師のインセンティブ、それに医療タイプだ。どうすれば終末期に向かう患者たちの焦りや苦しみや負担を減少させられるか。これらのインプットを与えてがん患者というエージェントの行動の無駄を減少させればいいのではなかろうか。その上で医療制度改革を制度設計すればだいぶ無駄と患者の苦難は減らせそうだ。