サイエンスとサピエンス

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ドイツにおける大腸菌アウトブレイク

 WHOが「ドイツにおける腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症アウトブレイク」という声明を出したのが6月2日である。
 しかるに、6月7日現在、感染源としての「もやし?」(ドイツ人もモヤシ食うのかあ?)の疑いが解除され、振り出しに戻ってきた。
 今回の大腸菌は「珍しい新種」のO104であるとされ、激烈な腸管出血性大腸菌感染症を発症するようである。多種の抗生物質に耐性があり、腸壁吸着力がハンパでないそうな。

 我が国北陸の富山で多発した大腸菌とはこのO104は菌のタイプが違うが、発生源のキールがドイツ北部であるのは興味深い類似だ。また、かつて1996年に堺市で発生した0157の感染源が迷走してカイワレ大根とされた事件は、国側の敗訴(つまり、カイワレ大根が感染源でない)で確定しているようだ。ドイツでは、モヤシが二の舞になるところだった。
 人体の常駐菌である大腸菌が牙をむくのは今に始まったことではないが、ドイツのように二千人が感染したというのは近年ではきわめて稀なことだ。ヒト-ヒト感染が起きているのは間違いないだろうけど。
O157

 感染源が明らかにされる前に風評被害がやたらに拡大していくのは今回の特徴だ。しかも国境を超えて拡大してゆくので、被害額も大きくなる。