フィッツジェラルドの短編は痛々しいくらいに若々しい。表題作はある典型のハシリとなった。バカバカしいまでのスーパーリッチの華々しい最後。
作者自身の生涯で見聞きした金持ちたちの生そのものか。
モンタナの山奥の自分の王国と壮麗な宮殿と築いたワシントン一族。ひょんな事からその独立王国に滞在した主人公のジョンは、娘と恋に落ちる。
ありえないほどの金持ちというのは、こんなエピソードから知れる。
ワシントン一族がアメリカ合衆国の測量が入っていない唯一の土地を確保できている理由とは、
三度の危機は
・一度目は測量局を買収
・二度目は公式地図を細工
・三度目は政府のコンパスを狂わせた
という次第。それでもやってくる飛行機を迎撃するために高射砲と私設軍隊を配備している(高橋留美子「うる星やつら」やこち亀のマンガの世界だ)
表題は富の源泉となったダイヤモンドの鉱山。その富をめざして山師が押し寄せてくる。最後はその群れに王国が破壊され、逃げ出した恋人たちがつつましい生活を語るとこでオシマイ。
映画になった『ベンジャミン・バトン』と並び称されるファンタジー仕立ての小説なのだ。
久々に読んだ、一風おかしい小説であった。
- 作者: スコットフィッツジェラルド,佐伯泰樹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/08/19
- メディア: 文庫
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