2017年1月早々から、「南極で巨大氷塊が分離へ 海面上昇の恐れ」なるNewsが地球温暖化を気に病む人びとの関心をそそっている。
ラーセンC棚氷からニューヨークのマンハッタンの100倍近い面積の氷河が分離する可能性が高まっているというのであります。
ラーセンCとは南極半島の西側に位置する棚氷であります。
GoogleEarthでみると面白いことがわかる。南極半島は南米大陸の突端にほぼ対応していて、ラーセン棚氷はほぼ大西洋に面していることだ。
つまりはラーセンCの崩壊は大西洋に影響を与えることになる。
2012年10月号の日経サイエンスの記事『南極メルトダウン』でも過去のラーセンAの崩壊を報じるとともに、南極のフェーン現象の増大が記されている。南極半島がどんどんやせ細るっているのだ。21世紀後半には見る影も無いかもしれない。アラル海と同じ運命をたどるのだろう。
ここで南極を俯瞰した地図でみてみよう。
西南極と東南極とで大きさがだいぶ異なるのは誰もが気づく。
その件については、2003年3月号の日経サイエンスの論文『南極の氷が語る海面上昇のシナリオ』では南極の東側=東南極は安定しているのに対して、西南極は溶融がかなりの速度で進展中であることをレポートしている。
つまり、大西洋側に面した氷床や棚氷はズンズン溶けてきたのだ。なぜ、大西洋かといえば、太平洋に比較して狭く、ヨーロッパとアフリカ、それにアメリカ大陸に挟まれているからだ。これらの大陸は古くから熱源として作用してきた。その熱源の一つは幾つかの古代文明だったし、産業革命以降は発熱量が加速中である。
南極の形状が西と東で非対称なのは、日ごろから当たり前だと思っていたが、意外なところで人類の活動と結びついているのかもしれない。
- 作者: ガイアヴィンス,Gaia Vince,小坂恵理
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