筑土鈴寛は調布市出身の民俗学者です。苦学して國學院大學を卒業し、中世文学と民俗のかかわりを研究しながら大正大学教授になります。
46歳という短い人生で後世に残した業績は妖しい光芒をはなつ。
手元に彼の校正した『沙石集』上下巻(岩波文庫)があります。昭和17年の刊行。実際に戦前出版の岩波文庫を担当することは権威の証しでありました。柳田が岩波書店に推挙したらしいです。
中世神道、なかんずく説経節や神道集など中世文学を完全に自家薬籠中としていました。文学史に足場を置きながら民俗、とくに日本の民衆の精神世界に踏み込んでいったようです。その才幹は折口や柳田国男も注目していたといいます。
筑土鈴寛はその師の折口信夫と同様に、中世人の心の全体を直感的理解できていたようです。折口が古代人の魂を持っていたのに対して、筑土鈴寛は中世人の魂が分かっていたとされるます。そのような原初的共感力の持ち主はやはり特異体質なのでしょう。小松和彦が指摘するように「つくどれいかん」の名の響きには特異なものがあります。
せりか書房からは彼の著作集も出てました。
彼の著作が簡単に入手できないのは、寂しいものがあります。
筑土鈴寛著作集〈第1巻〉宗教文学・復古と叙事詩 (1976年)
- 作者: 筑土鈴寛
- 出版社/メーカー: せりか書房
- 発売日: 1976
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参考書目
- 作者: 小松和彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/05/09
- メディア: 文庫
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