相模の国の一の宮というと寒川神社。延喜式にはこの神社は記載されていない。国幣中社だそうで、それほど社格は高くない。
相模の国の寒川神社がなぜ一の宮か?
諸説ある。
寒川のほうが古い地名を伝えているのだろうけれども、『吾妻鏡』には「佐河神社」とあるそうだ。頼朝以下、鎌倉武士の尊崇を集めたのだ。
正月の参詣はくるまの渋滞が半端じゃない。数年前来たときは駐車するまでに3時間かかった。
この辺り一帯の人びとがいっせいにお参りするからなのだろう。正月には出店はずらーっと門前市をなす。賑やかでよい。
昨年の季節外れの一日を久々にオールファミリーで、ちょっと的はずれなお参りをした。出店こそ一軒もなかったけれど、落ち着いた参道の佇まいと静けさを満喫できた。
小さな堀に囲まれた祕めやかや境内末社・宮山神社が鎮座。宮山はこのあたりの地名だけど。
おまけに算額があるのだ。算額とは江戸時代の数学の同好の士が問題を解いて絵馬にして奉納するのだ。
ここの算額はどうやらリメーク版らしい。カラフルで美しい。
ソディの六球連鎖という立体幾何の問題が解かれている。
こんな場所でも営々と幾何学の難問に挑み、神前に奉るという行為をするのは、なんというか、スゴイ。難問が解けたことを神に感謝する行為はピタゴラス学派に通じるものがある。
神社がコミュニティーとコミュニケーションの場であったのでもあろうが、ある意味、のどかな情景ではないだろうか。
神社は吹きっさらしの関東平野の片隅にある。多くの小さな工場たちと田畑に囲まれて、緑豊かなご神域がある。このしめやかなや自然が残されてあるだけで、慰めを感じる。それに鎮守の森はそれなりに風格がある。
近くのファミレスでのんびりと会食し、神域に面するコンクリートづくりの寒川神社参集殿でおみやげ・饅頭などを買い、帰路につく。
うららかに晴れた良い一日を神前に感謝!
相模川と寒川、ことばの響きは似ている。下の地図で見て取れるように、神域のすぐわきを流れるのは寒川神社の別の「ご神体」であろう相模川である。
【参考】この日本中世をこよなく愛したドイツ文学者の遍歴紀行は現代的だ。
川村氏は晩年、寸暇を惜しんでズミズミに居ます神の宮を訪れた。
ここ寒川の社にも参っている。
- 作者: 川村二郎
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