サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

地球温暖化と地殻変動

 面白い試算があったので、再現してみよう。
 その試算で、(自分自身も)半信半疑で伝えたいのは、地球温暖化地震発生に影響しているかもしれない、などという驚天動地の仮説である。

 この仮説の根拠を説明しよう。
 仮に、この100年のあいだに地表の温度が1度だけ上昇したとしよう。表面の地殻が岩石だけであったとしよう(海水ではないという近似である)。100年もあればかなりの深さまで熱は伝導しているであろう。地表近くの岩盤は十分に暖まるとしてもそれほど無理はないであろう。
 一般に物質の線膨張率はα=10^−6のオーダーである。
線膨張率というのは、もとの長さLに対して、αL×温度上昇分だけのびる、その係数である。
 いろいろな物質の線膨張率のデータがここにある。どれも10^−6くらいだ。
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~masako/exp/netuworld/syoutai/boutyou.html
http://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/h01020.htm

 さて、地球の周囲は4万キロである。L=40、000、000mである。
一度、上昇すると岩盤はαL×1度m伸びる。この値はざっと40mである。

 なんだ、大した事ではないと思うかもしれない。
 電卓で計算するとわかるのだが、これは6mほど地表が浮き上がることに相当する。
40m地球の周囲が膨張しようとするのだ。これは地表が40÷2πm浮き上がることに相当する。*1 いたるところで6mほど岩盤が浮き上がるのは、ちょっと無視できないくらいの地殻の動きになると思うのだが。
 この説を検証するには、岩盤表層部(地下数キロ以下)での地震発生が増えているかどうで、簡単にチェックできるのではなかろうか。

上記の地表膨張の議論はこの本にあります。

自然の中の数学〈上〉―数学で見る自然の美しさ (シュプリンガー数学リーディングス)

自然の中の数学〈上〉―数学で見る自然の美しさ (シュプリンガー数学リーディングス)


【追記】2011年3月11日
 マグニチュード9などという最大規模の地震があった。被災者の方々には衷心よりお見舞い申し上げます。
 地球温暖化は巨大なプレートの動きとは無関係だと思いますが、地球の中緯度付近でも3mほど浮き上がろうとする圧力はかかるかもしれません。所詮、直接観測できない領域で岩盤破壊が起きるのですから、科学的な説明というヤツはどれも仮説でしかありません。
 地球は巨大なブラックボックスなのです。

【追記】2011年8月24日
 昨日、アメリ東海岸でM=5.8の地震があり、たいした被害はないが大きな驚きを喚起した。地下6キロの震源だという。表層地震だろうか。
100年間このクラスの地震がなかった地域、堅い岩盤で安全な地域で起きたのだ。気にはなる出来事ではあります。ナショジオによれば震源地に近い森林地帯で大規模な山火事が起きていたようだ。ほぼ同時期だね。

*1:線膨張率で推算するかわりに面膨張率でみてもよいでしょう。