荘子の五末の説は示唆に富む。
末法思想ではないけれど、世につれ人につれ、世情が衰退する。その理を荘子は5つの徴で解き明かすのである。
一に、武力を用いる徳の末。力に訴えることを制度化するのは、人徳が衰えた兆しだ。
二に、賞罰を用いる教の末。金銭や名誉で人をつる、釣られる人ばかりとなるのは教えが行き届かない徴である。
三に、治の末。礼や法でがちがちにルールを固めマニュアル化するのは、自動的な動作するロボットばかりとなる。繁文礼褥はココロを盲目にする。
四に、音楽やリズムで拍子をとって活動する楽の末。時計は楽の音だ。針に合わせてきっちり動かすことしかしないマーチのリズムに合わせる集団は他人しか目に入らぬ。
五に、葬式の儀礼化、経済制度化は哀の末。塗り固め足られた死の儀礼は生の真実を覆いかくすのみ。
以上、徳・教・治・楽・哀の末は、すべて現世で行き着くところまで行っている。
- 作者: 荘子,森三樹三郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/10/01
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