自己崩壊的な株価暴落が昨年、アメリカで発生している。それもわずか数分の間に千ドルも暴落して、半日もたたずに旧に復している。
その日、一瞬、アクセンチュアの株が5セントになったのだ。
2010年5月6日に発生した瞬間暴落はこれを問題視したSECが5ヶ月かけて調査をしているが、その結果はどこかの大量売りが崩落を引き起こしたとしている。
ある専門家はコンピュータトレードのアルゴリズムに起因していると考えている。それは正しいだろう。問題はどのアルゴリズムか特定できなくなっていること(マシンラーニングでアルゴリズムが進化しているからだそうな、人智を超えているのだ)
さらには、高級なトレーディングシステムとインフラを使っているところが、瞬間的な処理の時間差を突いて裁定売りを浴びせているのだという。低級かそこそこのインフラと月並みなトレーディングシステムは売り負けるのだという。
お高いデータセンターを抱え込んでいる企業が勝つようになっているということらしい。なんでもNYウォール街から数キロ圏内の立地にデータセンターを持っていなければ、情報収集の速度差で機会損失が生じる、そんなミリ秒単位の売り買いの世界なのだそうだ。オソロシイ!!
個別の指摘はともかく、人手を超えたところでの株式投機が起きていて、それがブラックボックス化しているのは、興味深いことである。
幾種類ものアルゴリズムが有利なポジションを求めて進化するというのは、「コア・ウォーズ」そのままだ。人手が要らないのだ。
それと、決定論的なアルゴリズムがカスケード的に暴走して、市場の崩壊、表層雪崩を起こすというカオスが出現するのも何というか、非決定ゲーム的だ。先の見えないゲーム担っているのだ。
だからプロの投機家たちは自分自身で株への投資をやめだしているのであろう。
なにしろ、正確な今のデータを数秒でも早くとらまえた奴が勝つのだ。市場の混乱などよりは、ゲインを勝ち取ることなのだ。あとは野となれ山となれ、なのであろう。
「瞬間の君臨」ヴィリリオのシナリオをそのままリアル化した世界に、いつまにか時代が遷移してしまっているのだ。
- 作者: ポールヴィリリオ,Paul Virilio,土屋進
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