青つながりで自然科学書を読んでみた。
最相葉月女史の『青いバラ』はバラの品種改良をめぐる飽くなき執念のなが〜く深い歴史が学べる。蘭とバラは品種の多さでは双璧なのだろうなあ。
サントリーの青いバラAPPLAUSEが、通奏低音のような位置づけなのが、いい。
青い花=不可能の象徴が遺伝子組換えでこの世に登場することへの違和感を表明しているのであろう。
大河内 直彦の『チェンジング・ブルー』が続く。
気候変動のヒストリー(地球の経歴)の解明をつぶさに紹介した刮目の書。宇宙に浮かぶ青い星の表層が、環境の微妙なバランスのうえにあることはヒシヒシと伝わる。
人類の活動がその微妙なバランスを崩壊せしめ、アンバランスな変動をもたらすかどうか、が問われている。いまだに解答はなく、年年の気象変化を凝視するしかない。ちなみに、今年は観測史上最高気温になるそうだ。
スケールの異なる人類の営為を扱うことが共通だ。最相葉月の本が分子レベルの遺伝子の小突き回しなら、大河内博士の本は地球規模の大気圏への擾乱を扱うことになる。
ドンジリに控えしは、ピーター・ペジックの『青の物理学』
これは危機の書というよりは大気の色についての無垢で知的な探求の歴史といえようか。碧空がレイリー散乱で片付けられないところがいいんじゃなーい。
兎にも角にも空色は原子論の証明だというのが著者のメッセージだ。その原子論は証明されてから100年程度である。
自分もここで一点気になることがあった。気体分子運動論のボルツマン・マックスウェル分布は、確固した事実のように扱われている。しかし、実験的観察はあるのだろうか?
つまり、気体分子の速度分布を計測した研究はあるのであろうか?現代の計測技術にはそれが可能であろうと信じるからの疑問であります。
なんにせよ、いずれも探求の歴史的な紹介を主にして良書だったなあ。
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