NHKの『ダーウィンが来た!生きもの新伝説』は長寿番組である。2006年から放送開始で、もう6年以上になろう。
300回を超えて、まだまだ健在だ。その内容を仔細に調べるとひとつのことに気づく。
その内容には、動物たちが縄張りをつくり異性を惹きつけ子孫を繁殖させるという筋が非常に多いのは誰しも知るところだ。個体の繁殖の努力がどのよに実るかが、つぶさに紹介されているサクセスストーリーなのが特徴なのである。
つまりは、性淘汰がテーマなのだ。
性淘汰とは異性をめぐる競争を通じて起きる進化のことである。自然淘汰よりは性淘汰を意識的に扱っているのだ。ハミルトンの適応度が最大となる遺伝子が性淘汰で勝ち残る。
進化論というと自然淘汰が真っ先に思い浮かぶが、性淘汰はどうなのだろうか。
いやいや、確かに、慧眼なるダーウィンは『人類の由来』(原題"The Descent Of Man And Selection In Relation To Sex")で性淘汰を取り上げた。番組でダーウィンを標榜するのは間違いではないのだ。
それよりここで指摘しておきたいのは、準国営放送局として、視聴者のみな様の営巣本能をかきたてる狙いがあることだ。
動物たちですら営々として子孫繁殖に努力し、その努力は報われているのだから生物としての視聴者もそれに見習い、生物的な遺伝子増殖活動に勤しみなさい、というプロパガンダが脈々と伝えられるのである。
- 作者: 河合雅雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1997/08
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