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カリフォルニア州の山火事ニュース

 10月14日付けNHKニュース『米カリフォルニア山火事 発生直後の映像公開』では、こんな記事が報じられている。

カリフォルニア州北部で8日発生した山火事は、ワインの産地として知られるソノマ郡やナパ郡などを中心に燃え広がっています。

州当局によりますと、焼失面積はおよそ9万ヘクタールに拡大し、これまでに36人の死亡が確認されたほか、住宅や商店など5700棟が焼け、およそ9万人が避難しているということで、カリフォルニア州の山火事としては過去最悪の被害となっています。

本当に焼失面積が9万ヘクタールなのだろうか?
カリフォルニアの面積は424,000 km²。つまり、42.4万ヘクタールだ。州の20%以上が焼け野になったとしたら、それは酷い事態、ほとんど信じられないほど酷い話しだろう。
 学校で習う日本の面積は38万ヘクタール。我が国で言えば、国土の三分の一が焼けているというのだ。

 10月13日付けのBBCニュース『カリフォルニア州北部の山火事 死者31人に』も似たような数字を報じていた。

ワイン産地として有名なソノマ郡やナパ郡などで少なくとも22カ所が燃え続けており、消防士8000人態勢で消火活動にあたっている。

火事によって約6万8800ヘクタールにわたり、3500棟の建物が焼失し、約2500人が家を失った。

 約7万ヘクタールだ。州の六分の一ほどだ。NHKニュースの誤報ではないようだ。

 でも、自分はやはりそんな規模だとは信じ難い。カルフォルニア州の人口は3900万
単純計算で1/6が焼け出されたら650万人が対象になる。一家4人として、160万世帯くらいが焼失する。「山火事」なので田舎とか山野で起きているにしても割に合わない。
これだけの範囲の火事なのにたった「8000人」の消防士というのもね。日本でいえば関東甲信越中部地方をあわせた範囲で起きた火事に「8000人」だとはね。

 おそらく、州の災害管理当局があまりの急激な火事の拡大に、信頼できる数値を集めきれていないためだと、想像している。
 宇宙からもわかるほどの大きな焼失がアメリカ西海岸で起きているのは、ちょっと信じられない。

 ファイヤーエコロジーという分野の研究によって、火災からの立ち直りやその生態学的意味もある程度わかってる。それにしても、カリフォルニアは長らく干ばつスレスレ状態が続いていて、大地や植生が干からびていた。そのうえに、こんな火災だ。住民たちも生物たちも堪ったものではない。
 カリフォルニア州はワイン産地としてだけではない。乳製品、アーモンド、牛肉の生産地であり、世界各国への輸出拠点でもある。この火災のインパクトが農作物にどれほどあるかが懸念される。

この分野の科学的考察本は日本で一冊しかないようだ。

ファイアーエコロジー―火の生態学

ファイアーエコロジー―火の生態学