サハラ砂漠がかつては緑豊かな緑野だったことは、タッシリ・ナジェールの壁画などから知ることが出来る。その変化はこの1万年以内であったが、地質学的な年代スケールからすれば一瞬であった。
ところで20世紀になってから、地球温暖化が目に見えるような影響をあたえ出している。その時間的なスケールは大きく短縮化してきているのは確実だろう。
アラル海の縮小は地球儀でも観測できるほどの大きな変化だった。面積は1/3になってしまった「海」の変貌は「20世紀最大の環境破壊」とまで言われる。
科学とイデオロギー全能を盲信した社会主義政権下での出来事であったことは記憶されるべきことだろう。
さて、もう一つ草の根型の収奪農業が自然破壊によって自滅した例が、アメリカ中西部で発生した。「ダストボウル」による農耕地の壊滅である。
1930年台に起きたこの事件はスタインベックの『怒りの葡萄』の背景となった。
こちらは自由市場主義が生んだ悲劇だ。
いずれにせよ、100年にも満たない短期間で、自然環境が破壊的な変貌を遂げることが起きている。
多少人類は賢くなったにせよ、グローバル化によって自然への収奪はスケールアップしているのが21世紀の現実だ。
変化は一世代で起きるし、それがアラル海やアメリカ中西部などよりも遥かに大きなスケールで発生するのは、止めようがないないのではないかと憂慮する。
すぐ出来るような対策はあると思う。それはほとんどの人が自明の享受であると信じ込んでいる習慣を即座に停止することだ。
牛肉の全面禁止などはその代表だ。牛にあわないコーンを無理やり食べさせて、胃潰瘍になった牛を屠殺して空輸して食べるなんていうのは、牛の発生するメタンやその飼育に要するバーチャルウォータ問題も生み出している。もう、牛乳だけで十分ではないか。
エアラインなども疑問視されて当然だろう。海運と鉄道で旅行は十分ではないだろうか?エアラインを誰でも格安で利用することほど大気を混濁させるものはないのではないか?
しかも、石油以外の代替燃料はないのだ。
そういう意味ではジェット戦闘機はすべて廃棄すべきだろう。
などなど..当たり前の無害そうな文明の享楽物は山ほどある。
一世代で多くの緑野が荒地と化す、その結果食料生産は激減し疫病と戦争の時代になるのは必然だ。とするならば、それを避けるために牛肉やエララインなどは誰も諦めがつくのではあるまいか?
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