前にも同様なテーマを考察したことがある。
「自国語で科学研究できる言語はどれくらいあるだろうか」
ノーベル物理学賞受賞者の故 益川敏英氏は英語が苦手だったときく。それでも一流の研究ができたのは、学術用語が日本語で定義されており、日本語を母国語としてコミュニケーションする専門家共同体があり、専門書なども十分な量と質が国語科されているからであろう。つまり、自然科学において翻訳大国であったことも貢献している。
さて、世界の言語3000程度で主な言語は300ほどだという。
このうちで、上述の条件を満たす言語はどのくらいあるだろう。
学術言語は英語を頂点と標準とすることになる。そして、それに及ばずとも肩を並べる言語は、フランス語、ドイツ語、ロシア語、イタリア語、スペイン語だろう。中国語や韓国語もそれに近いし、ポルトガル語とヒンディー語も人口規模から含めていいだろう(調べたわけではない)
これらの言語圏を第一列と呼んでおこう。
東欧や北欧の言語圏はどうだろうか?
ちょっと微妙だと推測する。これらの国々のなんといっても有名な学者は、フランス、ドイツ、イギリスに留学しているのが共通だ。英仏独の多言語を話す人も珍しくはないのだ。
日本語も当然、第一列に属している。なにしろ、ノーベル賞受賞者数はアジア圏で一位なのだ。
第一列の言語圏は11個になる。専門的学問を母国語でほぼ学習できるのはこのくらいなのだ。
タガログ語のフィリピンやベトナム語やインドネシアなどAasen諸国は、この点第一列には属していない。おおよそ、これらの国のエリートは英語かフランス語に堪能だ。
言い換えると専門的学習は自国語ではないと断言できると思う。
なぜ、Aasen諸国を例にとるかというと、技術的なビックプロジェクトを自国民で動かしていないからだ。
中国や韓国、日本やアメリカ、EU諸国から企業と専門家が参加して、超高層ビル、地下鉄や火力発電所などが作られている。これを戦後70年たっても卒業できない体質なのだ。
思えば、この11言語圏に属していて、自分は幸いだった。
【参考資料】
上記のような言語圏比較を行っている資料は見たことがないので、様々なニュースや情報からの推測でしかない。
唯一下記の本は翻訳文化について貴重な情報源だった。
最後の章で明治以降の日本も取り上げられている。