サイエンスとサピエンス

気になるヒト、それに気なる科学情報の寄せ集め

三峡ダム 中国の地図を変える建造物

2009年に開削・完成した巨大ダムの雄姿。ズームするとダムの造形が見れる。
だが、ヨウスコウカワイルカ揚子江河海豚)はこのダムにより姿を消したと言われる。イルカさん可哀そうに。近縁の種が滅びるのは、人もそれによって自らの首を絞めていることを意味する。
 逆説的にいうと、絶滅危惧種の危惧をなくしてくれたダムに感謝、だ!


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周囲の山塊には地震もしくは豪雨による深層崩壊の危険性もある。かつて上流でクフ王のピラミッド大の岩塊が水面に崩落し、30mの津波が起きたそうだ。狭小な島国の人間には想像もつかない。超巨大なダムがそんな衝撃に耐えうるかどうかはだれも知らない。

【2011年6月追記】
このダムは四川地震や干ばつの原因だとやり玉にあがっているようだ。その根拠はないが、人びとの不安をあおるような巨大さと自然環境への挑戦的な建造物ではある。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0523&f=national_0523_015.shtml

【2015年6月追記】
ミズンによると三峡ダムの近くには迎撃ミサイルが配備されており、テロや攻撃に備えているという。なるほど崩壊すれば下流域の被害は天文学的数字になるだろう。だが、2008年の落成式には中国の主席や首相は欠席したという。2011年には指導部がダムによる環境問題や社会的問題を認めたという。事前にアセスできなかったダムの巨大な水量が誘発する地震が起きている。




ダムはムダ―水と人の歴史

ダムはムダ―水と人の歴史

この本はちょっと古いがダムがどのように自然と人間への脅威となるか、よく調べてある。一回読んでみられるとといい。アスワンハイダムは完全に失敗とエジプト政府も公認らしい。貯水池からの蒸発量が多く灌漑施設による水供給は不足気味。洪水による土地の肥沃化を補う窒素系肥料の生産の電力は、ダムの発電力以上。流域には寄生虫病がはやり、河口からの養分が減って漁獲高が減少した。ナイル川のような巨大な河川をせき止めると何をもたらされるかを雄弁に語る。


渇きの考古学―水をめぐる人類のものがたり

渇きの考古学―水をめぐる人類のものがたり

2014年に出たこの本では、中国の都江堰という秦の頃に計画された水利施設を絶賛し、三峡ダムを憂慮している。